行け! ケンドリー!

22,19,8…とは、ケンドリー・モラレス選手の背番号です。
今季「8番」を付けることになるモラレス選手を紹介しましょう。

モラレス選手は、今季エンジェルスでは松井選手と並んで最も期待されている選手です。
エンジェルスとは2005年から6年契約なので今年が彼にとっては契約最終年になります。
ケンドリーはキューバの選手です。彼の故郷は、そう、社会主義国家ですね。

大リーグの選手たちはUSA出身者とは限りません。現在のMLBは、アメリカ国内で言う、マイノリティーの人々によって支えられているとボクは個人的にそう思っています。プエルトリコ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、ニカラグワ、そしてキューバ出身の選手たちが、それぞれにさまざまな思いを込めてMLBでプレーしています。国家の経済的援助を続ける選手や、家庭崩壊を再興するために頑張る若者などもMLBには多数いますね。だから、各国の言語とくにスペイン語は英語に次いで多用されているため、米国のスポーツ界の常用語にもなっているほどです。各球団では言語の他にも、各国の生活習慣や文化を理解する必要があります。ときには球団側では各人の宗教観も理解してあげる必要も起きてきます。このようにMLBの場合、球団経営とは単に経済活動だけではないのです。人間的なコミュニケーションを知っておかないと、円滑なチーム活動は出来ないのです。ときおりMLBの話題で政治臭くなるのも、実はそんなことが影響しているからです。
MLB事情は以前、このブログで書きましたから、今回は省きますね。

さて、ケンドリー・モラレス選手の話題に絞りましょう。ちと、オッサン顔ではあるのですが、その実、満26歳の若き選手なのです。
ハンター選手、松井選手、モラレス選手は今季エンジェルスの3,4,5番トリオと他チームから警戒されているほどの強力打線。ハンター選手と松井選手の力量はニホンの大リーグファンの方々はすでにご承知でしょうが、案外モラレス選手のこととなると、よく知らないなあ…、という人がいるのではないでしょうか。かくいうボクも彼のことはさほどわかっていませんでした。なので、ちと、調べてみました。

真っ先にボクの関心が向いたのは「キューバの選手」だということです。キューバの選手は、自国にいる時はいいのですが一旦はなれるとさほど目立った活躍をした選手がいないからです。ヤンキースに03年、松井選手と一緒に入団したコントレラス投手はニューヨークでは当時松井選手以上の話題をさらい、地元メディアは連日コントレラス投手の特集記事を書いたものでした。
しかし、その後の彼は…。キューバの選手は精神的にタフさが欠けているとの声を聞きます。自由奔放な雰囲気が漂うチームに、なかなか馴染めなかったりするシャイなタイプがキューバ選手の特徴ともいわれていますね。
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モラレス選手は昨年09年のシリーズで「突然」大活躍しました。豪快な打撃フォームから繰り出された白球はまるでピンポン球のように軽々と飛んでいきます。
それまでは、控え選手みたいな存在でしかなかった。2006年は57試合,07年43試合,08年27試合だけです。それが09年に、152試合出場して安打173本。ホームラン34本、打点108、二塁打43本、打率.306の打撃成績でした。年俸は110万ドル(日本円で1億円程度)の超廉価選手が、この活躍です! エンジェルスのスーパースターだったゲレーロ選手(今季テキサスレンジャースに移籍)が衰えを噂されるなかで、若いモラレス選手の活躍は地元ファンには強烈に印象に残りました。

もともと彼はキューバチームでは投手でした。投手時代はなんども優勝経験があります。キューバでは大スターだったことでしょう。
そんな彼が故郷を離れる決心をしたのは、どうやらアテネ五輪で起きた、ある出来事でした。それは予選途中で、亡命を企てている、という疑いをかけられ帰国命令が出たからだったと言います。
本人は当時そんなつもりはなかったのに、以後、代表チームから外され、出場停止処分も受けてしまう。そんなことから次第に若いケンドリー君は、不信感を抱くようになってしまう。それ以後、なんと8回も逃亡したがそのたびに逮捕。何回も何回も故郷からの脱出を実行するケンドリー。
そして、2004年6月に18人の仲間たちとボートで4時間航海を続け、9回目にしてようやく希望の地、フロリダに到着します。脱出成功。当時20歳だった。
小舟に乗ってメキシコ湾を渡ったこの4時間、ケンドリーがなにを夢見たのか、なにを考えていたのか、それはどのような航海だったのかは、ケンドリーしかわからない…。人生を変えてしまうこの4時間の彼の体験がどんなものだったのか…。

ドミニカ共和国でFA権をとり、エンジェルスが彼を拾い上げた。
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ソーシア監督さんはみんなも知っているとおり、バイリンガルです。意思疎通はお手のもの。ケンドリーにとって、エンジェルスはまさに「天使たちのチーム」に思えたことだろうし、このチームだったからこそ彼はブレイクするチャンスがあったのだと、ボクは思う。

そんな期待感でファンがまっているグランドに今季、まだケンドリーの姿はどこにも見えない…。

移民局の手続きが長引いているのか、と思ったら、彼は現在MLB選手として最大の危機に直面していたのです。この際はっきり書くが、その原因は、エージェントの裏切り、なのです。彼の所持金30万ドルを持ち逃げされてしまったという。あ~あ、損しちゃった、なんてレベルの話ではすみません。すでに、球団側まで巻き込んでの警察沙汰になっている。A・ロッド選手たちのような高給取りでさえ30万ドルは大金でしょう。ケンドリーは110万ドルの低額サラリー。そのサラリーから、30万ドルを持ち逃げされたとあっては、生活そのものに悪影響が生じて、大変でしょう。
スポーツ界には大小さまざまなエージェントが存在するが、キューバ人である彼は自由国家アメリカではさほど知り合いは少ない。信頼されているエージェントと出逢う機会もきっと少なかったのでしょう。そんな彼はこのエージェントと決別して現在は、松坂らと同じボラス氏が担当しているようですが、この事件の決着はまだついていない様子。解決にはボラス氏の力に頼るしかないでしょうが、なんとかこの局面を克服して、一刻も早く仲間たちと合流して欲しいものです。
自分が持っているたったひとつの能力。天が与えた「運動能力」をケンドリーは信じて疑いません。その能力を生かすためにMLBの道を選択したひとりの若者です。そのキューバの若者がいま、太平洋を越えて自分の「夢」を追い求める日本を代表するスラッガー・松井秀喜選手とスクラムを組みます。
目標はたったひとつ、「チームの勝利」のために…。

と、書いたら、本日出場してましたぞぉ~!
良かった、良かった!! 3打数2安打2打点の大活躍です。

背番号が「8」と真新しくなったケンドリーが、もし…。
もし、彼が昨年同様の、いや、それ以上の活躍を成し遂げたとしたら、キューバ出身選手たちのこころの支えになるとボクは思っています。
2年連続してMLBで大活躍したキューバ選手はまだいないのだから。いわんや、「10月決戦」で昨年の松井選手同様の活躍を成し遂げることが出来たとしたら…。

そんな「夢」を膨らませてくれる選手が、エンジェルスの若きスラッガー、ケンドリー・モラレス選手なのです。もしよかったら、モラレス選手にも松井選手同様に、熱い熱い声援を送ってあげてください。

「いけ! ケンドリー!」って…。

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(写真はMLBサイトより)


…NY152…
by mlb5533 | 2010-03-09 15:49 | 第八章