MLB ふたりの主役

地元で開幕した2010年シリーズのエンジェルスは、開幕7連戦で結果は2勝5敗。
「チームにとっては全然駄目でしょう。見ての通りです。(打開策は)勝つしかない。それを重ねていくしかない。(個人としては)いい日、悪い日がありました。また再スタートですね」
とは、チームの4番・松井選手のコメント。

見ていると不安材料はまず投手陣。先発投手がまだまだ。制球が安定していません。後続の投手陣はもっと不安を感じました…。
打撃もエンジェルスのチーム特徴であるビッグイニングが作れないこと。とにかくタイムリーが出ないまま、相手投手を崩しきれないでいる。盗塁、犠打など機動力が生かしきれないから、スキを突いて襲いかかってくるあのエンジェルスカラーがまったく態を潜めているのが寂しい。この回はもう少し得点できただろうに、と思わせるゲームが目立っていたこと。
要は松井選手が指摘するように、チーム全体の力が低迷したままの7連戦だった。
個人的には、1番アイバー選手の出塁率が高まるともっと試合はおもしろくなるはずと期待しているのだが…。下位打線を打つ若手選手が監督さんの意向どおり、早く育つことも期待のひとつだ。

個人的に感じるのは松井選手が違って見える。それは、ボクだけだろうか…。
ヤンキース時代の松井選手の立場は、舞台劇にたとえるなら、どこか「名脇役」的存在ではなかったか。それを彼自身もわかってプレーしていたように感じる。A・ロッド選手、ジータ選手、ポサーダ捕手などがまず最前線にいて…松井選手はその後に立っていたという感じがする。
ところが移籍したエンジェルスでは、はじめから「大スター」として扱ってくれる。打撃陣の大黒柱として評価している。そして、その期待に松井選手は応えようとしている。チームの勝利のため、という考え方を第一優先してプレーする姿をソーシア監督さんはじめ地元メディアも高く評価する。エンジェルスはヤンキースに比べれば、失礼を承知で書くがどこにでもある「田舎チーム」だ。人気スターをズラリと並べてどこからでもホームランが飛び出すヤンキースとは戦い方、選手のつきあい方、ベンチの雰囲気もそれはそれは大違いだろう。若手三塁手・ウッド選手が開幕戦から使われていたが、あんな「贅沢」はヤンキース球団ではまずあり得ないだろう。そんなチームに移籍した。大リーグ独特の家庭的チーム。地元ファンに支えられているチームはヤンキース以外どのチームもおなじこと。紳士たちが集まるチームから、田舎のチームに移籍したということは、本当の意味で松井秀喜個人の人生がアメリカ生活に溶け込むことを意味しているとボクは思う。シアトルの「24番」は大リーグの英雄だが、彼をあそこまで育て上げたのは本人の努力はもちろんだが、地元ファンが育て上げたとボクは思っている。もし彼がヤンキースに行ったとしたら、とはなかなか想像出来ないほど、24番・ジュニアはシアトルがよく似合う。いや、ジュニアはシアトルでなければいけないのだ。
松井選手はもしかしたらヤンキースに戻るかも…と移籍発表した頃そんな雑念もよぎったものだが、いまこうして見ていると、松井選手は「巨人軍時代」「ヤンキース時代」を経て、4番打者としての完成を「エンジェルス」で成し遂げるのだろう、と思えてきた。

いつだったか…。まだ松井選手が巨人軍4番打者だった頃だ、こんなコメントをしていたことを思い出す。「チームの勝敗は4番の責任なんです」と。
この選手はどこに行っても、若き高校野球時代から「チームの勝利」を最優先する。個人的活躍を褒め称える試合直後のインタビューではどこか涼しい顔だが、「チームの勝利につながりましたね」と言われて初めて笑顔が浮かぶ選手だ。大リーグきっての知将・ソーシア監督さん、名将・トーリ監督さんにして「彼は根っからの野球人」と評されているのは、この点なのだろう。
ボクは松井選手から感じてくるそんな責任感に、「美しさ」を感じる。一昨日だった、シアトルの1-3の劣勢のなか、迎えた9回土壇場。イチロー選手がヒットして2-3とした。三,一塁の場面で代打はジュニアだった。往年の勢いはなくなったジュニアだが、それがなんと、いとも簡単にセンター前にはじき返す。3-3の同点にして、グティエレス選手がタイムリーして4-3の逆転勝利。ジュニアの貫禄を見せつけられたものだ。
松井選手はまだまだやれる。ジュニアの像とかぶせて眺めるのはその年輪に差がありすぎるが、ボクはこのふたり、大リーグではけっして交わることはないこのふたり選手にさまざまな共通点を感じてならない。その第一が「チームの4番として誇り」だ。日本文化の「潔さ」をボクは24番に感じるし、松井選手はとくにその誇りを背負って太平洋を渡ったはじめて日本人野球選手として、目にうつる…。
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さてさて。
いずれにしても現在のエンジェルスはこの結果だ。明後日からのヤンキースとの3連戦をヤンキースタジアムで戦う。
かつてはリーグ優勝をかけて戦った相手であり、松井選手にとっては自分が育った球場でもある。松井選手が打席に立った時、果たしてニューヨークファンたちはどんな反応をするのかも、気になるところだが、今はどんなに悪くてもせめて1勝は挙げておかないと…。先発投手の奮起と、打撃陣のつながりを希う。

個人的には、というより皆さまも心のどこかで期待していると思いますが、A・ロッド選手、ジータ選手が呆れるほどのあのホームランを松井選手がまた古巣ヤンキースタジアムのライトスタンドにたたき込んで欲しい、と。そんな場面をなんとしても、この3連戦で見たい…。

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(写真はMLBサイトより)
…NY152…
by mlb5533 | 2010-04-12 13:17 | 第八章