背番号「2」の伝説

ボストンレッドソックスのエルズベリ-選手の背番号が昨季、46番から2番に変更になった。背番号「2」と言えば大多数のMLBファンなら、ヤンキースのジータ選手を思い浮かべるだろう。
ヤンキースでもそうだが、背番号の一桁台は歴史の長いチームのボストンでも永久欠番が多く、そのなかで「2」を付けたエルズベリー選手はチームの顔として認められたに違いない、とボクはそう思った…。

この選手はデビューした07年からボクのお気に入り選手のひとり。
07年と言えば、ボストンが04年に次いで3年ぶりにワールドシリーズ制覇を達成したシーズンだった。新人のエルズベリー選手は「10月決戦」の11試合で打率.360。25打数9安打2盗塁と大活躍。1番打者としての大仕事を見事に成し遂げた…。

どんな球にも腰を引かない左打席での彼の姿は、一種「美観」さえ漂う。アメリカインディアン・ナバホ族初の大リーガー選手だ。高等学校卒業時にタンパベイにドラフトされたが、大学進学を選んだ。オレゴン州立大を卒業して、ボストンに指名されて入団している。どこかトムクルーズに似たその風貌に、都会的とはいえないが芯の強さが感じ取れる。

08年にレギュラーになり、09年には打率.301。得点は98、94と先頭打者として申し分ないかつやくだった。しかし、背番号「2」になった昨シーズン、守備のトラブルで肋骨を骨折してシーズンを棒に振ってしまった。

そしていま、開幕当時はまだまだ本調子ではなかったものの、あれよあれよという間に打率は.260をアップ。得点はすでに15を数える…。

エルズベリー選手が日本ファンにもその俊足を披露したシーンがあった。09年のことだった。ヤンキースが久々にワールドシリーズを制覇して松井選手がMVPになった年だ。
このシーズンが始まって間もない4月26日の対ヤンキース戦でのこと。ペティット投手が先発していた。
5回裏2死満塁、3塁走者がエルズベリー選手。NYY 1-2 BOSだった。
投球カウントがB1-S0。ペティット投手が投じた瞬間、3塁からエルズベリー選手がホームスチール!
驚異の「セーフ!」
スタンドからは大歓声が上がった。ベンチは大拍手と歓喜、戻ってきた若きエルズベリー選手は先輩らにもみくちゃにされていた…。
「失敗したら最悪だったが、(相手投手の)アンディ・ペティットの投球を見て、絶対に成功すると思ったから行った」と、メディアにコメントしている。
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彼は27歳。ひとつ年下にサンフランシスコジャイアンツのティム リンスカム投手がいるが、こちらはアメリカを代表するバリバリの現代っ子。長髪をなびかせてのロックスター並みの人気者だ。そんな彼らに比べれば、エルズベリ-選手は古いアメリカを感じさせてくれる。チームの勝利に直結するプレーを連発する。外野守備でも好守備を披露してくれる。昨日今日ともに、3安打の猛打賞だ。好機に三振すると、多くの選手はふてくされたような表情をするが、彼はそんな仕草を絶対にしない。肩を落として祈るような仕草にさえみえる深呼吸をしてしばらく打席で固まっている。そんな古風な若者だ。
ボクは、いい選手だなあ…と視線は釘付けにされる。こういう選手がMLBで活躍しているからボクは目が離せないのだ。彼らの日々プレーする姿がボクに物語を綴らせる。試合を観戦するボクの心を熱くしてくれる。彼らがグランドでプレーする日々になんの躊躇いもなく、大声援を送りたくなるのだ。
ボクは確信する。エルズベリ-選手は今季このペースを持続すれば、間違いなく夢の球宴オールスターに選ばれる、と。そう思うと、エルズベリ-選手対ティムの対決が実現して欲しいとさえ、ボクは夢みる。

背番号「2」は、決して弱音を吐かない。決してグチらない。常に全力でプレーしてくれる選手が背負っていい背番号だ。チームの顔とも言える選手なのだから。

今年のボストンは出だしこそノロノロしているものの、やっぱりそこはそれ伝統ある「ボストン」に違いない。注目する価値はある。
とくに、エルズベリ-選手が背番号「2」を背負っている限りは…。
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…NY152…
by mlb5533 | 2011-04-30 01:20 | 第九章