ポージー選手、君たちの時代だ!

a0094890_18545113.jpgSWEEP!

今季、MLBワールドシリーズで、サンフランシスコジャイアンツがデトロイトタイガースを相手に4連勝して30球団の頂点に輝いた。
しかも、わずか2年前にワールドシリーズ制覇を果たしたばかり。
この強さはもはや、誰ひとり疑う余地のない「本物」になった。


2010年のこと。
開幕当時、誰がジャイアンツの優勝を予想しただろうか。ポージー選手の存在すら気にとめる記者はいなかったはず。それまで正捕手だったベンジー・モリーナ捕手は7月にテキサスに移籍、その後をポージーが受け継いだ。
ポージーはこの年、マイナーで開幕を迎えた。5月29日、一塁手としてメジャーに上がって、シーズン後半は4番で正捕手の座になって活躍。そして、56年ぶりのワールドシリーズ優勝の立役者になった。当時、23歳でしかなっかった。

ところが翌2011年、プレー中に大怪我をしてしまう。
5月26日のフロリダ戦だった。本塁クロスプレーの際に、左下腿の腓骨骨折と左足首靱帯断裂の大変な事態に見舞われた。一時は選手生命を危ぶまれるほどの大怪我だった。実は、このニュースをMLBサイトで知ったが、ボクは無性に腹が立ったことを覚えている。ビデオで事故の様子を見たが、「あのプレーはベースボールではない、アメフトではないか!」と。

このブログに書くことではなかったが、とにかくMLBらしくない忌まわしい危険プレー。小柄なポージー選手にあれだけの体当たりをするとは…。
ポージー選手は残りのシーズンを全休した。
ボクは「来季、出てこられるのか」と、気になって仕方がなかった…。

そして、今季が開幕。
ポージー選手は復活していた。あれだけの大怪我をしていたのに。なんと、オープン戦から出場しているではないか。
このニュースはボクにはありがたかった。
松井選手のレイズの他にも、気になるチームがあるのがおもしろい。
ただし、だ。開幕戦のジャイアンツはひどすぎた。アリゾナを相手に3連敗、しかもヒットは出ているのだが決め手がない。6点も先制したのに、あっさり逆転負けと、不安だらけのスタート。でも、NLの西地区はボクにとってはドジャースが大いに気がかりだった。むしろ、今季はドジャースがいただきだろうとさえ思っていた。いや、おそらく7月までは誰が見てもドジャースだったろう…。

10ゲームは開いていたと記憶しているがその上、8月のこと、不祥事が起きた。
ジャイアンツの主軸、ミルキー・カブレラ選手がドーピング検査で陽性反応。50試合の出場停止処分が下った。打率.350の首位打者がいなくなる。このニュースには唖然とした。ヤンキースでは松井選手の同僚。ボクには、彼が?と、まさか、のニュースだった。ジャイアンツ内部でも頭を抱えたに違いない。カブレラ選手は自分の首位打者である記録を辞退した。このことで、ポージー選手の首位打者が繰り上がった。

ポージー選手は25歳。MLB4年目の若い選手だが、おそらくジャイアンツのなかで、ヤンキースのジーター選手のような存在になるだろう。今年のオールスターでは、ファン投票でナ・リーグ最多となる762万票以上を集め、カムバック賞も受賞した。高校時代から交際を続けた女性と結婚、昨年双子が誕生しているが、その奥様を同乗しての凱旋パレードはまるでハリウッドカップルのように華やいで、微笑ましい。
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昨年の大怪我から彼のプレーに変化が出ている。
ワールドシリーズでも見せたが、ホームでのクロスプレーになるとき、ポージーはホームベースの前、ピッチャー側に飛び出して、内外野からの返球をキャッチする。三塁から走塁してくる選手は、ホージーのいるフェアゾーンを使えなくなるのでファールゾーンを走らざるを得ない。走者がホームに滑り込むとポージーはまるで柔道の受身のような格好になり、ボールを握っている左手をそのまま走者にタッチする。ホームを両脚で跨いで隠すのではなく、逆にホームベースをガラ空き状態に見せているが、ポージーがピッチャー側にいるため、走者は遠回りしてホームに滑り込む。このプレーなら、無意味なラフプレーを回避出来そうだ。
このプレーを「ポージーポジション」と名付けて、ひとり楽しんでいる。

ジャイアンツの若い選手はポージーだけではない。
マット・ケイン投手28歳がいる。今季6月13日、ヒューストンを相手に14奪三振の完全試合を達成した。捕手はもちろん、ポージーだった。サンフランシスコジャイアンツの生え抜き投手だ。
投手陣では、ケイン投手の優等生組のほかに、忘れてはいけないのがあの人気者、ティムがいる。とくに、現地の若い女性にはジーター並みの人気だ。
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ティム・リンスカム投手は28歳。米国人の父とフィリピン人の母を持つ。けっして大柄ではない。ロックスター並の風貌が特徴だ。全身を使って投げ込むフォームは、野茂投手のトルネード投法に匹敵するほど、独特だ。とにかく身体が柔らかいのだろう。変化球がものすごい。曲がる、落ちるの球道は高速すぎて打者はタイミングがとれない。今季は10勝して5シーズン連続して、ふた桁勝利。まだまだ先が楽しみ。

a0094890_199858.jpg若い女性のあこがれ役はティムに任せて、子どもたちの超人気者は「カンフーパンダ」こと、サンドバル選手、26歳だ。
とにかく「プレー」する選手。
そもそも、デビューは08年8月で「5番・捕手」だった。まあ、体格からして捕手だが、自分ではそう思っていないようだ。

2010年のことだ。
ワールドシリーズを56年ぶりにチームは制覇したが、サンドバル選手はこの大事なシーズン中、ひとり、蚊帳の外といった感じだった。実にふがいない成績で、本来の打撃はどこに行ってしまったのか…と。

ポストシーズンは6試合だけ出場した程度。打率は.176…。打撃力がどん底にまで落ちた。原因は誰の目から見てもわかっていた。わかっていないのは、当の本人だけ。
太りすぎ、だ。

そこで首脳陣はサンドバル選手を呼んで言い聞かせた。
「オフの間に減量ができなければマイナー落ち」と厳しく通告したという。デブのままでマイナー行きか、それともメジャーに生き残るか、の選択だ。そこで彼が真っ先に努力したのは、大好物のポテトチップスとコカコーラを我慢したことだった。その結果、17キロ以上の減量に成功する。その甲斐あって、11年シーズンはレギュラーで残り、打率.300、20本塁打を記録できた。ただ、お調子者で陽気な性格は相変わらずなので、チームが好調だとうれしくなってベンチでお菓子類を人一倍頬張ってしまう。コーチから「マイナーに行きたいのか?」と注意されていると聞く。そんな人気者が、大事なワールドシリーズで3打席連続ホームランの離れ業をやってのけ、MVPに輝いた。なんだか、こっちまで楽しくなってくる。とてもじゃないがヤンキースベンチではこんな話は転がっていない。
彼の体格から想像し難いが、実はとても器用な選手であることは間違いない。三塁手ではあるが、一塁手も捕手もする。ブルース・ボウチー監督もそんな器用さを買っている。

ブルース・ボウチー監督さん(57歳)だが、実父はアメリカ陸軍の下士官である。07年からジャイアンツの監督さんだ。6シーズンで2度ワールドシリーズ制覇を果たした。就任のシーズンはとにかく弱ッちく、最下位。翌年から、4位、3位、1位(10年ワールドシリーズ制覇の年)…とチーム力を向上。各コーチ陣と連帯して指揮する監督さんと聞く。あまりドタバタしない監督さんだ。

来季がおもしろい。
ドタバタしていたドジャースがチームの再建を目指して今季以上の巻き返しをしてくるに違いない。だが、この若きチーム・ジャイアンツはまだまだ成長するだろう。おそらく、もっともっと強いチームになるだろう。
日本からもジャイアンツ戦を観戦したがるファンも多くなるだろうと想像する。それほどこのチームは注目に値する選手が増えてきた。スター選手が増えれば、観客動員数も上がり、選手たちはその環境の中で試合を展開するからますます熱が上がって、すばらしいパフォーマンスを見せつけてくれるに違いない。

a0094890_19193973.jpgいつの日か、東京ジャイアンツとサンフランシスコジャイアンツの決戦カードを組んでもらえないかな、と夢見る。なにせ、両チームとも共通して「若い」。

そういえば10年前の本日11月1日のことだった。東京ジャイアンツの4番打者・松井秀喜選手(当時28歳)がFA宣言した。
「向こうでプレーしたいという気持ちが最後まで消えなかった」と、あのときコメントしている。

ボクに「夢」を持たせてくれる選手たち…。
それは、輝いて眩しいほどだ。

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by mlb5533 | 2012-11-01 19:33 | 第十章