…そして、ボクとニューヨークに冬が来た

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今日、ニューヨークの「今年の夏」が終わったな…と、そうボクは思った。

この日の夜、ニューヨークは雨が降っていた。寒がりのボクだから、こんな日には外出はしたくない。アパートで熱いコーヒーをすすりながらテレビを見ているか、CDを聞いていたことだろう…
肌寒かったろう、今夜のニューヨークは。しかし、ここクィーンズにある球場には、53,200人以上の人たちが地下鉄に乗り、マイカーで、中にはきっと飛行機でやってきた人もいたことだろう。この観客人数は、メッツ球団史上、球場新記録の観客動員数になってしまった。彼らのここに来た目的は、
メッツ対カーディナルスの第7戦を観戦するために…。

メッツの本拠地シェイ・スタジアムで行われる最後の戦いを見たい、その一心でこれだけの人々が悪天候の中、押し寄せていた。ここまで、3勝3敗。この試合に勝ったチームが、「リーグ優勝」の栄冠を勝ち取る。もう、なにも残っていない。2006年のリーグ戦としては最後の試合だ。

子供たちは父と手をつないで、メッツファンの恋人を持つ女性は彼に従って、サラリーマンたちも、学校の先生たちも…そして、遙々セントルイスからやってきたファンだっていたことだろう。日本の野球ファンがそうなように、アメリカ人も「おらがチーム」の「勝ち姿」をこの目で見たいのである。そして、その瞬間の歓びを、「おらがチーム」の選手たちとともに、大はしゃぎしたいのである。
「勝つ歓び」にひたりたくて…
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1-1が続く。雨が冷たい… 両軍のベンチには笑顔が消えていたことだろう。激しい緊張感が選手たちに容赦なく襲いかかる。

第7戦では、エンディ・チャベス外野手がプレーオフ史上に残るであろうスーパープレーを見せた。6回1死一塁、カージナルスのスコット・ローレン三塁手が放った打球は雨の中、左翼方向に高々と飛んでいく。もしかしたら…いや、そんなことはない…両軍のファンたちは打球の描いた放物線に沿って視線を離さない。際どい、スタンドインか? それとも… 際どい。

打球がスタンドインすれば、カーディナルス勝ち越し2ラン!
両軍の全選手と53,200人の目が、その行方を追いかけた…。
「あっ、ホームラン! かぁ?」
この際どいボールを追いかける一人の選手…
雨でぬかっている地面を蹴って、メッツの選手がジャンプした!
チャベス選手だ! 
右手をフェンスの上に精一杯突きだしてのジャンピングキャッチ!
すばやく内野へ返球し、飛び出した一塁走者までアウトにした。
スタジアムは歓声がこだまする。大拍手が鳴りやまない。一生に一度見られるかどうかの、美技中の美技を53,200人の人々が見ていた…
「Amazing Mets !」の伝説がまたひとつ、加えられた。
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その裏、メッツは一死満塁と攻めたが、モリーナ捕手にしてやられた。結局、試合は最終9回までびくとも動かない。延長戦かも、と言う気配も漂う。
しかし、動いた! カーディナルスが土壇場の9回表についに試合を動かした。

九回一死一塁だった。打席に入ったのは、モリーナ捕手。
初球の甘い変化球を迷わず振り抜いたバットから打球は高々と上がり、今度は間違えなく左翼フェンスを越える2ラン!

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九回裏、メッツは2死満塁と全力で反撃。だが、3番ベルトレン選手の見逃し三振で、今季ALの「物語」は決着がついた…。

カージナルスが、17度目のワールドシリーズに進出する。


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そして、ボクの「夢」…
ニューヨークが春になるまでボクの「夢」は
白い雪の中に仕舞っておこう…
2006年のニューヨークよ! 君は力強い! 
その輝きはボクを魅了する!
 
ニューヨークよ、 覚えていてほしいんだ…
ボクには君と同じ「夢」があることを… 
また君が再び日射しを浴びて春の香りが風にのった頃、
ボクは今年以上の「夢」の袋をたずさえて
君に会いに行きますから…

オベリスクのような摩天楼たちよ! 
雪の下に眠る静かなセントラルパークよ!
ボクは来春、新たな君に「出逢い」に行きます。

(コラージュは筆者制作)
…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-20 19:26 | 第一章