もうひとつのニューヨーク

後一本が出ないまま、終わってしまったカーディナルス…。
昨日の試合展開は、そんな印象だった。
メッツは、レイエス選手の先頭打者ホームランで先制、中盤4回、打撃の職人グリーン選手がセンター前にヒット! メッツは1点が加点されたが、その後は沈黙。お互いにチャンスをつぶし合い、両軍のベンチから笑顔が消えていた。
一方、何度もチャンスがありながら、後1本が出ないカーディナルス…

a0094890_16494513.gifそして、9回の土壇場。
先頭のエンカルナシオン選手がヒット、続いて、ローレン選手の2塁打で、3塁、2塁の好機。ノーダンだ。しかし、凡打が続きたちまち2死。
2死2,3塁で登場したのが、田口選手だった。簡単に2-0となったものの、あの粘りでレフト線際の待望のタイムリー! 2塁打とする間に、二者がホームに帰り、2点!

田口選手は、4打数4安打4打点 ここまで来れば、もう神がかっている。
かし、カーディナルスの反撃はここまでだった…


NYM4-2STL
これで、3勝3敗になった。

メッツ先発のジョン・メーン投手は今季まだ3年目の「新人投手」だった。カーディナルスの先発は昨季のサイ・ヤング賞右腕、クリス・カーペンター投手。もう、予想の大半は「メッツは今日で終わる…」はずだった。
なのに、メッツが勝ったのはなぜか?
ジョン・メーン投手をこうリードしたポール・ロデューカ捕手の功績か?
ボクは、こう読んだ。ロデューカ捕手のリードと言うよりも、作戦勝ち、出はなかったか、と。
徹底して「強打者」との勝負は避けた。プホールズ選手との勝負はしなかった。徹底ぶりはまさにお見事、感心した。若い投手だったら、「勝負したい」心境だろうが「チームの為に」ここは個人的プライドを棚に上げさせたランドルフ監督は、立派だった。「ダメなら、責任は私がとる」と言わんばかりの采配ではないか。

この作戦が功を奏してたか、ランドルフ監督の思惑通りの勝利に繋がった、とボクは読んだ。
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ウィリー・ラリー・ランドルフ監督(Willie Larry Randolph)
1954年7月6日生 52歳。
2004年までの11年間、NYYでコーチをしていたが、昨年NYMの監督に就任した。
そして、いきなり低迷していたNYMを「W83 L79 .512」に立て直してしまった。
そして、今季。監督就任2年目にして、「W97 L65 .599」の成績をあげて、早くも地区優勝にまで上り詰めた。それも、大リーグ1番乗りの「スピード優勝」だった。
監督成績は、
2005 W83 L79 .512
2006 W97 L65 .599
通算成績は324勝180敗 勝率5割5分6厘

ヤンキースの名二塁手であり、1970年代後半のトップバッターである。
1976年から1988年まで13年間、NYYでプレーした後、1992年メッツで引退したのが37歳だった。1993年から2004年、NYYでコーチ。2005年にNYMの監督に就任している。
監督サンになって、まだ僅か2年目なのだ。

一方のカーディナルスのラルーサ監督は先日紹介したとおり、大リーグ監督として名監督である。
監督としての通算成績は2114勝1846敗 勝率5割3分4厘を誇る。
ランドルフ監督のおよそ7倍の勝ち星を積み上げてきた監督だ。

メッツ監督が「若い」ければ、メッツの選手たちも「若い」。「若い」という表現は、年齢ではなく、キャリアである。

a0094890_1651164.gifそもそも、メッツ4番打者デルガド選手は
「俺は約12年半もプレーオフに出られなかった(実際は今季がメジャー14年目)。野球選手ならば誰だってプレーオフに出て、勝ってみたいものだ」とコメントしている。
「俺たちはいつだっていいプレーをしてきたし、楽しんでプレーしてきた。自分が打つのもいいが、きっと勝ち上がったときのほうが、もっとうれしいんだろうな」と語ったほど、「10月決戦」には縁のなかった選手たちがいる。
キャリア不足、がメッツの特徴なのである。
その点、カーディナルスは「ワールドシリーズ制覇9回」の歴史を誇る古参のチーム。短期決戦の勝ち方の「Know-how」は充分知り尽くしているチームだ。

それを承知した上での、昨日の試合展開。ランドルフ監督の采配は、ズバリ的中している。
「無理させない術」を、若きメーン投手に授けたと感じたのは、ボクだけではあるまい。それを守ったバッテリーもスゴイ…。この戦法は、相手チームをイラ立たせた。

今季、NLもALも、「10月決戦」はSweepが目立って多かったが、このカードだけは興味深い。


a0094890_16512361.gifそして、現在のメッツはやがて数年後、ニューヨーカーたちの「伝説」になっていることだろう。


新星対古参の激突…だった、と子供たちに語り継いでいくのだろう…。


間もなく、その「物語」のすべてに決着がつく。



(コラージュは筆者制作)
…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-20 06:12 | 第一章