メッツはもう、あのメッツではない!

んーー、やっぱり…か。
ニューヨークメッツは、ほんとに強い。言葉が見つからないほど、その強さは絶大だ。
余裕の勝利だのゆとりあふれた勝利だの…そんな文学的表現は今のメッツの勝利法には、ふさわしくない。むしろ、きっちりとした数学的運動量、という観点で観戦した方が、その強さの秘密を発見できるだろうとボクは思う。

f0012316_1833648.gifメッツの勝ち方は、偶発的な得点、という点の取り方はない、ということだ。思いもよらない本塁打が飛び出す…なんてことは、あり得ない、ということ。それで勝った、なんて試合は今季どこにもなかった…。
思いがけないことがことが起きるのが、ベースボールである。それを期待して私たちは球場に、テレビの前に集合する。
思いがけないこと…だから、そうそうあるものではない。162試合中、1,2試合だろう、それを見られるのは…。例えば、今季ホワイトソックスのショートストップ井口選手が、体が倒れる、地面に落ちる、まさにその瞬間、スローイングして1塁でアウトを取った。こんなプレーは、思いがけない美技だ。そうそう見られるものではない…。打撃となると、もっとそれが顕著になってくる。

思いがけないことをして、勝っていたから「アメイジング メッツ!」だった。それがいままでのメッツ、だったではないか。そして、その姿がメッツの「伝統的チームカラー」とさえ思っているファンたちが多く、メッツというチームに群がっているファンの特徴でもあった。
映画「オーロラの彼方へ」(原題:FREQUENCY)がそうだったように、メッツはロマンチックなチームだった…。はなはだ失礼な表現をさせていただくと、「女性的紳士」という印象が今までの「伝統的メッツ」だったろう。やさしくて、穏やかで、人格を優先する、そんな知性派文学的チーム、だったのである。
クィーンズの象徴としての「メッツ」だった。ブロンクスのヤンキースとは、この点が違っている。
往年のメッツファンたちは決まってこう言う。
「ヤンキース? んーー、あのチームはブロンクスだろ」と。

だが、現実はすでに違っている。彼らの歴史は、現在のチームによって、完全に塗り替えられた…。かつてのヤンキースの姿、そのままではないか! 暴れん坊メッツ、に変身している!
目の前にいる「メッツ」は、ロマンの欠片(かけら)すら、ない。偶発的勝利なんて、どこにも存在しないのである。相手のエラーが勝利に結びついた、なんて試合もいまのメッツにはもう起こってこない。
その勝利は、「徹底した数学的破壊力」、そのものである。その勝ち方は、見ているボクには、驚異であり、恐怖でもあり、高熱を放つ人間の体温であり、早まる心拍数であり、そしてなりよりも目を見張るのは、あのスピード、だ! 大リーグ1番、とボクは測定している。

だから、怖い、のである。

いま、メッツを相手に戦っているのが、「セントルイス」だ。歴史の浅い米国内では珍しく、この地には歴史を感じる。まあ、物書きたちには絶好の土地柄だろう。至って、文学的、である。
日本からやって来たひとりの地味な選手「田口壮選手」も、このチームカラーにうまくマッチしている。書きたくなる素材、なのである。「アメイジング」を感じ取れるからだ。感じた体験を文字にして自分の心をスケッチしてみる。そんな後味の良さを抱くのは、ボクには「セントルイスカーディナルス」である。

f0012316_188436.gifだが…。メッツは、書きにくい。
書きたくないのではなくて、書きにくい。それも、「実に書きにくい」のである。ロマン、がないから。
その試合運びは、彼らの主目的である「勝利」から、寸分も狂いなく運ばれていく。ここでこうなって、この選手がこうして、そして、最後はここで終わる…と、あたかも観測、測定されていたかのように、「勝利の設計図」に従って試合は流れていく。メッツが負けるときは、測定値に「狂い」が生じたときにだけ、惨敗している。さらにメッツが恐ろしいのは、その「狂い」を翌日にはきっちり「修正」してプレーできる選手たちだと言うことだ。
これは、恐ろしいことだ。とくに、この短期決戦、では。

今日の試合はまさにそうだった。
NYM 12-5 STL

「セントルイス」相手に「クィーンズ」は、勝ちすぎである。お上品な勝ち方とは言えないほど、完全に相手を破壊し尽くした…。汚い言葉で言えば「叩きのめした」。「やられたら、倍にしてやり返す」それが現在のメッツだ。繰り返して言うが、もう往年のメッツはどこにもいなくなった。今のメッツは、歴史とは無関係のメッツ、なのである。相手をとことん「叩きのめすチーム」になったと言うことだ。超人的破壊力を武器にして、容赦してくれない。「徹底した勝利」と「確信した勝利」を納めるチームなのだから。
強い、ほんとうに今のメッツは、強い…。

f0012316_18111361.gifこれが、破壊力№1「メッツ打線」である。

1.レイエス選手#7(ショート/生え抜き4シーズン目)
2.ロドゥーカ選手#16(キァッチャー/今年FLAから移籍)
3.ベルトレン選手#15(センター/昨年HOUから移籍)
4.デルガード選手#21(1塁/元来TRO、今年FLAから移籍)
5.ライト選手#5(3塁/3年目の生え抜き)
6.グリーン選手#20(ライト/TOR、LAで、ARIから今年移籍)
7.バレンティン選手#18(2塁/MIL,CWSで、LADから今年移籍)
8.チャベス選手#10(レフト/PHIから今年移籍)

本日の試合は、1点ビハインドの2回。
3番ベルトレン選手と5番ライト選手があっさり本塁打して、逆転。
3回、セントルイスは同点にしたものの、5回には、
4番デルガード選手の3ランで、再び逆転。5-2。
6回。1番レイエス選手からバレンティン選手までの集中打で6点を加点。
7回には、またしてベルトレン選手の本塁打…

12-5 の、圧勝だ。
これでNYMは、STLとの対戦成績を2-2のイーブンに戻してしまった。

f0012316_184931.gif明日、またセントルイスでこの両軍の試合がある。

…ヤンキースを熟知している松井選手の「夢」を一緒に追いかけている仲間たちに告ぐ!

ボク達は来季、必ずこのメッツとの対戦になるだろう…。だから、見逃さない方がいい。
メッツの強さの秘密を知っておくべきだ。この恐ろしいまでの破壊力を、見届けておいた方がいいとボクは断言しておこう。

明日、勝ったチームが、リーグ優勝に王手をかける。

(コラージュは筆者制作/Yahoo!sportsサイト)

…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-16 18:30 | 第一章