そこに「光」が… 2000本安打達成の瞬間

以前からそう思っていましたが、松井選手のプレーにはどこか文学的な印象を感じさせてくれます。
6日の「2000本安打達成」もそうでした…。

現地ニューヨークは日曜日。快晴のヤンキースタジアムで、午後1時05分から始まったシアトルとの対戦。空は青く、芝の緑が眩しい。あと1本で日米通算… そんな期待を抱いてスタンドで観戦していたのは、若干の日本人ファン程度だったことでしょう。そんな大記録がかかっていることを知っている現地ファンは少なかったのではないでしょうか。

6回の第3打席で左翼へフライを打ち上げた。白球は空高く舞い上がった。高く高く、上がった。
なかなか落ちてこない。空の青の中に白球は吸い込まれて、やがて微かな点となる。
光が微かな点を透明にさせる…。
左翼はマリナーズ4番打者であり、名手イバニュエス選手。彼はグラブで太陽の光を遮り、僅かな点を見失うことなくその落下点に体を置き、捕球の姿勢を確保した。そして、捕球寸前、グラブを差し出した途端、イバニュエス選手の目には影が消えて、光でいっぱいになった。彼の両眼を照らしたその光はサングラスをしても、影を創ってはくれないほどの眩しさだった…。青い空から降りてきた突然の訪問者のように、松井選手の打った白球は誰の手にもふれることなく、地上の緑の芝に落下して、着地して、転がった。白球と芝の緑と、そして空の青色が区別できたのは、松井選手が打ちあげた球が地上に落下した後のことだった…。
この瞬間、松井選手の2000本安打が達成した。光の群れが白球を包んでいた。

あれは、イバニュエス選手の「エラー」ではなく、堂々たる「2塁打」だった。自然界の中で人間が躍動するベースボールのプレーが創り出した「安打」だ。ボクにはこの上なく素敵な安打に見えた。松井選手らしいなぁ、とさえ思え、ひとり部屋の中で歓声を上げてしまった。これぞ、松井秀喜選手の物語だ、と確信さえしたドラマチックな「2000本安打達成」ではないか!
大リーグのルールでは、太陽の光で白球を見失った場合、「安打」と判定するはずだから…としいう事だけをボクは信じた。
そうしたら、案の定そうなったから、余計うれしかった。まるで我が事のように、照れくさく、うれしさを隠せなかった。

青空の光たちが松井秀喜選手に味方した。

ご本人松井選手も、「エラーだと思ってた」というから、楽しい。
野球の神様が松井選手に「光を与えて」くれた。神様からの贈り物、それがこの「2000本安打」…。
ボクは、そう思いたかった。

この大記録は、、昨年達成すべきだったけれど、「あのこと」でこの大記録達成は1年待たされた。昨年、松井選手はグランドの外でリハビリに力を注ぐ。復帰した試合では、4打数4安打と打ちまくった。主将のジーター選手も苦笑したほどの大活躍をしてくれた。
そして、今季。松井選手は「光」を友だちに出来る選手になった。なにかまたひとつ、ボクの目にはまだ見えない新たな何かが加わった選手になった。
左翼に飛んだ打球が2000本安打になったけれど、左翼は松井選手のポジションである。そこに「光」があたっている…。

2001安打は、右翼へ。この安打はごくごく普通の安打だった。

6日のこの試合、光があったのは松井選手だけだった。
フェルプス選手は城島捕手にしなくてもいいような危険なプレーをするし、プロクター投手は報復危険球を投げて、けんか腰になるし…。7回裏はクレメンス投手の復帰を演出するし…、両監督は退場になるし…で、ベースボールの試合ではない。ドタバタ演劇を見せられたようでどうも後味が悪かった。

そのなかでの松井選手の日米通算2000本安打。この薄汚れた試合で、たったひとつの「光」であったし、そして「夢」の輝きでもあった。舞い上がれ、打球! 大空高く 舞い上がれ!

松井秀喜選手 「2000本安打達成」 おめでとうございます!

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by mlb5533 | 2007-05-08 03:41 | 第四章