この四球は本塁打よりも美しい

今日だけはお仕事関係者には目をつむっていただきました。
ちょっとだけ、プライベートタイムをいただいて…。

本日の試合は、心に残った試合になりました。そう、パイレーツとヤンキース戦です。
6月10日(現地時間)、ニューヨークは快晴でした。試合結果はすでにサイトでわかってはいたのですが、どうしても録画でもいいから見たかったシーンがあります。
パイレーツの桑田投手と、ヤンキースの松井選手の場面を…。これだけは、なんとしても見ておきたかったのです。

試合の流れは、両軍とも点の取りあい。3回までNYY 5-2 PIT だったと思えば、4回にはNYY 5-6 PITで逆転、透かさずその裏NYYがA・ロッド選手の本塁打で3点を加点してNYY 8-6 PIT。相変わらず安定しないNYY投手陣でした。

そして、今日の歴史的瞬間です。背番号18の桑田投手が登板です。パイレーツ2点のビハインドで5回からマウンドに。この背番号はパイレーツ球団からのプレゼントのようでしたが、ボクには眩しくもあり、人ごとなのにもかかわらず、なんだか自分が照れくさくも感じました。

マウンドにいるのですよ、確かに桑田投手が。彼はもう39歳だそうです。
栄光の巨人軍を支えたエース・桑田投手。晩年はすっかり勝てなくなっていました…。その投手が大リーグに挑戦なんて話は、ボクははじめから「やめとけよ! 18番が汚れるだけだし…」って、友だちにもそう言ってたものです。米国に渡ってから、足の靱帯を故障。「そら、見たことか…桑田投手、もういいよ、そこまで頑張れば…帰ってこいって!」 ありったけの栄光を欲しいまま生き抜いた巨人軍の18番が、泥だらけになる姿をボクは見たくなかったのです。つらすぎて…。現在の巨人軍がどんな姿に変貌しようとも、桑田投手だけは、ボクにはいつまでもいつまでも、栄光の18番、のままでいて欲しかったからです…。

しかし、桑田投手はボクのそんな危惧もまったく無視なされて、いまヤンキースタジアムで大リーグのマウンドにデビューしました。39歳のルーキーです。
よくまあ、ここまで登ってきたものだ、というのがボクの実感です。とにかく、見慣れた桑田投手の投球フォームは相変わらず。でも、三振を獲るだけの球威はなさそうです。
しかし、5回、三者を無事仕留めています。

そして、6回…。
A・ロッド選手に2ランホームランを打たれます。NYY 10-6 PIT。まあ、これで今日の試合は決まりでしょう。

そして、ボクの見たかった場面が来ました。このホームランの後でした…。

松井秀喜選手が打席にたったのです。桑田投手が3-1から四球、松井選手を歩かせます…。
この間、松井選手はただの一振りもしなかった…。この静けさが、ボクには…言葉が見つからないほどの「美しさ」に写ったものです。

栄光の巨人軍を支えた背番号18番と、巨人軍の4番をはった日本を代表するホームランバッター・松井選手がいま別々のチームで戦っている…こと自体、ボクはいやです、出来ることなら見たくなかった。ボクはテレビの音声をゼロにしました。よけいな音が聞きたくなかったから。ふたりの表情だけを見たかったからです。

打席でバットを構える松井選手の「静けさ」と、マウンドに立つ桑田投手の「静けさ」がテレビ映像を通して、いままで体験したことのない「熱」をボクに与えています。ふたりはもう、別々のチームなんだという現実をボクに知らしめてくれました。できることなら、こんな場面はボクは見たくなかった…けれど、これもまた現実です。一度もバットを振ることがなかった松井選手が、バットを置いて、1塁まで行きました…。

ふたりの対戦を見終わったとき、ボクは上質の演劇を見せてもらったようなさわやかで、あたたかい感動が胸いっぱいに広がってました。目頭に熱いものが溜まっていました。
この四球は、松井選手に失礼だとわかっていますがあえてここに書き残しておきます。
「ホームランより、美しかった」と。

この場面こそ、男達の「夢の物語」、ベースボールという活劇でしか見られないのだから…。

ボクの一生のうち、こんな素晴らしい場面はそうそう見られないでしょう。
いいものを見せてもらいました…。さてと、お仕事にかかりますか…これも現実です。
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…NY152…
by mlb5533 | 2007-06-11 16:37 | 第四章