「夢」の影

大リーグファンのひとりとして、そしてヤンキースの応援をするただの野球好きに過ぎないボク。

今回のアンディ・ペティット投手の記者会見の内容はこのブログでは避けておくべきなのかもしれない…と思った。「夢」だけを書き残す、と思って始めたブログだから。
でも…。
大リーグファンの皆様もボク同様、この一連の薬物使用問題をお考えになったのではないでしょうか。そして、これに対する多くの意見があるのでしょう。

そもそもボクにはペティット投手はじめ、彼等が「薬物使用」する事情もよくわかっていない。日本の野球界では、このような事件は起きない。だから、比較も出来ないし、「薬物使用」の是非論も、それを「悪」とする側の言い分もボクはよくわかっていない。
ひとりの野球ファンでしかないボクが、HGH(ヒト成長ホルモン)について語る資格なんてあるのか、と。でも、「夢の裏側」の現実を自分なりに書き残すことにします。こういう事実が大リーグ、そしてボクの愛するNYYに起きているということを。

18日、フロリダ州タンパで1時間以上にわたって記者会見したペティット投手。その内容は、ファンへの謝罪やロジャー・クレメンス投手への思いなどを語っていたという。その写真がサイトに掲載されていた。
苦悩を隠せないペティット投手の表情、それを見守るチームの仲間ジータ選手とポサーダ捕手、それにリベラ投手の姿…。彼等の表情は今まで試合で見せていた顔とは全く違っていた。社会人・ジータであり、ポサーダ捕手だった。会見後、ジータ選手はペティット投手をしっかりと両腕で抱いていた。よろこびの抱擁ではない。感動の抱擁でもない。まして、栄光をたたえ合う抱擁でもなかった…。ジータ選手の抱擁はあたかも、痛みを持つ人間を励まし、力添えしているかのように見えるのは、ボクだけだろうか。
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ボクは彼等のこんな光景は、ほんとうは見たくない。…見たくなかった。

なぜ彼等は薬物を使用するのか? 薬物とはいえ、覚醒剤ではないのになぜこれほど米国メディアは彼等を追い詰めるのか? HGHの使用が何故悪いのか? ボクには疑問だらけだ。

タバコが悪い…ということは理解できる。一方で、愛煙家の言い分もよくわかる。
同様に、HGHの使用が「悪」の理由がボクにはまだ理解できない。もし、ホルモン注射のすべてが「悪」だとしよう。だったら、タバコほどではないだろうが、何故こんなに簡単に薬物が入手できるのか。選手たちばかりを責めているように見えるが、それを管理できなかった球団トップたちの責任はどうなる?

通算201勝の左腕、ペティット投手は記者会見で、こう述べている。
「自分の過ちについて話すために来た」と切り出すと、
「ファン、特に子どもたちに謝りたい」と続けた。
「速く、強くなると思って使ったわけではない。故障者リストから早く抜け出したかった。筋線維を修復してくれると聞いて、愚かにも使ってしまった」
と説明している。
彼が師と仰ぐ大投手・クレメンス投手は、「薬物使用」の疑いがあるが、クレメンス投手は全面否定している。ペティット投手の発言は、師との決別を意味しているとも米国メディアは書き加えた…。

大リーグの選手たちは、個人的には「高収入」だ。大リーガーという「地位」と、記録を樹立した後の「名声」…。個人的には、誰でも欲しがる人生だろう。一旦この「地位」を得たら、失いたくない、という気持ちは増大するだろう。そして米国の多くのベースボールファンは、そんな彼等が常に「スーパーマン」でいて欲しいという願望が強い。選手はファンの要望を知っているから「スーパーマン」で居続けたい。「地位」と「名声」を守ろうとする…。それはいいとして、その為にはなにをしてもいい、という「身勝手」なことではない。仲間たちへの影響、自分の家族たちの反応…。そして、米国社会のルールの「枠内」で選択すべきではなかったのか…。

「故障者リストから早く抜け出したかった」というペティット投手の気持ちは痛いほどボクには理解できる。それが大リーグの生活環境なのだろうから…。だからボクは「HGH使用選手」を責めることが出来ないのだ。ただ、ボクは思う。「他に選択はなかったのか」と。

ボクの見た印象だが、アメリカは「薬物氾濫国家」だ。どんなに取り締まっても、覚醒剤の氾濫は止めようがないようだ。身を守る道具もまた「氾濫」している。その上、容易に入手できる環境がアメリカではないのか…。「自由」と「身勝手」が同居する国アメリカ…。
やがてこの国で「高収入」を得ると「成功者」として「名声」を得られる。人格とは別だ。常に「お金」が浮かんでくる国・アメリカ…。こんな図式がボクには思い浮かぶ。「夢の輝き」に「影」がひそむのは、そんな一瞬だ。だからこそボクは、大リーグだけはそんな光景は見たくなかった。
大リーグだけは、「人間の輝き」を見たいと願う。二度とペティット投手はじめ多くの大リーガーたちの「社会的制裁」と彼等の「苦悩する姿」は見たくない。そして、そこまで彼等を追い込むような「要求」を大リーグファンのボクは、してはいけないと思う。怪我をしたら、「医者に行け!」と助言したいのだ。「自分の力で治療しろ!」と助言したいのだ。「マツイはそうしているぞ!」と助言したいのだ…。「道が違うぞ!」と。
大リーガーは「スーパーマン」ではなく、「美しい人間」でいて欲しい。
彼等には家族もある。ファンに愛される選手以前に、我が子に尊敬される父でいて欲しい。

二度とこんな話が出ない大リーグであって欲しい。
「光と夢」を追い続ける「人間の業」を、緑と青の下で見せ続けて欲しい…。

もう、よそう。こんな話は…。
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by mlb5533 | 2008-02-20 11:23 | 第五章