NL「二都物語」

アメリカ大陸に無数に散在するベースボールファンたちはきっと今頃、大陸を東西に二分して、時が過ぎていくことなどすっかり忘れて、熱く語りあっているに違いない…。

太平洋の波を間近にする西の都・ロサンゼルスでは、おらがチーム・ドジャースを溺愛する老人は、いかに強かったかと、自分が若かった日々に見た試合に尾鰭を付けて、その当時の選手の名前を挙げて熱く語っている…。
トミー・ラソーダ、ドン・サットン、デューク・スナイダー、ギル・ホッジス、そして球界のジェントルマンであるピー・ウィー・リースたちの「物語」を、若者たちを集めては、杯をかわして語っているに違いない…。
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やがて老人はお決まりの語り草へ、昔話はここで最高潮に達する。1947年ばなし、である。
スカウトのジョージ・シスラーから推薦を受けたジャッキー・ロビンソンと契約を結び、黒人選手の道を開いていった物語のことを。「ドジャース魂」を、想い出の「夢」の中で語っている頃だろう…。ドジャースを愛する往年のファンたちは、きっと今頃そんな話で持ちきりだろう。若者たちも老人たちには負けてはいない。ヒデオ・ノモが「夢」を抱いて太平洋を渡ってきたチームがドジャースだったことを忘れてはいない…。

一方、対戦相手の東の都・フィラデルフィア。
そこに住む彼らを「フィリー」と呼んでいる。そのフィリーズは1883年(明治16年)に球団創設。以来、今日まで「フィラデルフィア・フィリーズ」のチーム名は変わっていない。同一名球団として最長の歴史を誇っている。また、フィリーズは長年に渡って黒人選手の受け入れを拒んできた歴史を持つ球団でもある。「ジャッキー ロビンソンが出場するなら我々はフィールドには出ない」と監督はじめ選手たちが発言していた。1957年(昭和32年)にようやくフィリーズは黒人選手と契約。大リーグでは黒人選手契約が最も遅かったチームである。

ジャッキー・ロビンソン。彼の背番号「42」はMLB全球団の永久欠番になっているが、彼が大リーグで本格的に活躍してから今季シリーズは60年目にあたる。白人社会の色彩が強かったフィラデルフィアも、今では43%が黒人が生活している。映画「ロッキー」のふるさと、でもある。

そんな歴史を含んだ「二都物語」が、2008年10月10日(日本時間9日)、MLBのフィールドで対戦する。60年の時空を超えて。
日本人大リーグのパイオニア・野茂投手のバトンを手渡された黒田投手は、「10月決戦」で1勝をあげて、チーム3連勝に貢献した。今シーズン途中で東から来た黒人選手のラミネス選手は2試合連続のホームランでチーム3連勝に貢献した。
今季両軍の選手たちはまた、「新たな物語」を創り出そうとしている。

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by mlb5533 | 2008-10-07 01:40 | 第六章