「チーム」の美しさ

一昨日だった…

仕事先からこの部屋に戻ってきたのは、夜9時頃。予定した時間より早く戻ってきた…。
堅苦しいスーツから柔らかいスエットに着替え、コーヒーを入れていたらベルが鳴った。
誰か来たようだ。誰だろう…。

a0094890_2384829.gifホテルマンのエイジ君とエンジニアのカッパ君たち10数人が食事を持ってきた。みんなで夕食を食べようという企画だ。土曜日だったのだが、それぞれ仕事があり、丁度みんなの「遅い夕食時間」がうまく重なったようだ。ボクは、セントルイスの試合結果が気になっていたから、持ち込まれたご馳走を食べながら、みんなでこの試合を見ようということになった…。

カッパ君は、昔から「田口選手」のファンで、「見ましょうよ、試合を」とワクワクした顔で言う。どうやら、カッパ君はこの段階では、まだ試合結果を聞かされていなかったようだ。むろん、ボクも、である。ここにいる仲間たちの中には、この日の試合結果を知っている人もいたが、

「結果は言うな!」

の、合い言葉で録画を見ることになった。

すると、「ハイ、これ…」そう言ってカヨちゃんがDVDを差し出した。このアパートから徒歩3分の距離に住むトオル君の奥さん。トオル君は、東大出身の会計士でボクと出逢った頃は堅物だったが、みんなとかかわっていくうちに、その性格は軟化し、ボクたちの友だちであるカヨちゃんと結婚した。
そのトオル君が今日の試合をDVDに焼き込んでおいてくれた。それをカヨちゃんが持参してくれた。
「あっあ~~」
カッパ君が奇声ををあげた! 「うるさい! では、いくぞぉ!! 結果は言うな!」

すでに夜10時を過ぎているのに、部屋の雰囲気はすっかりスタジアム。
とくに田口選手が打席に立つと、やかましい…。第2打席でセンターに抜けるヒットを打ったときは、カッパ君は気絶でもするのか、と思うほど両手を握りめたまま、Freezeしていた。

a0094890_2392255.gif田口選手が8番左翼で先発したカージナルスは、1点を追う四回だった。モリーナ捕手、田口選手の連続安打で一死一、二塁とした。続くウィーバーの送りバントを処理しようとした投手が三塁へ悪送球し、これを同点とした。さらに、続く一死二、三塁で、エクスタイン選手の内野ゴロの間に田口選手がホームを踏み、勝ち越し。七回にも1点を加え、継投でタイガースの追撃を抑えて、4-2で競り勝った。

シリーズ最優秀選手(MVP)にはエクスタイン選手が選ばれた。

明日も仕事で早く起きなければならないが、そんなことは忘れて結局、試合後のインタビューまで録画されてた全部を見てしまった…。


誰でもそうだが、人は勝ちゲームに身を置きたいのだ。勝つ-うまくいった…試合に身を置き、あたかも自分の人生がそうであるように…。
田口選手は、そんな意味でもサラリーマンたちの「ヒーロー」になった。田口選手を賞賛する記事のタイトルは「忍耐」「我慢」「下積み」「報われた勝利」などの文字が目立つ。確かに、そうだ。
このあたりの彼のドラマが、大勢のサラリーマンたちの人生に共感を得た要因でもあろう。日頃、スター選手の影に隠れて、メディアの相手にもされなかったエクスタイン選手が今シーズンのワールドシリーズでは、MVPを獲得している。素敵な物語だと思う…。

ベースボールの魅力は? と、人に訊かれたらボクはこう答える。
「チームプレーだ」
と。ともに勝つ…みんながうまくいった物語、それがベースボールだ、と…。


帰りがけに、エイジ君が「ハイ これ」そう言ってボクにお土産をくれた。
開けてみると、それは来年の「Yankees Calendar」だ。
2007年8月に松井選手がいた。堂々として、打席に立つ松井選手がいる。
ボクの「夢」がここに映し出されていた…。
a0094890_2394587.gif


…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-30 12:00 | 第三章

a0094890_16432774.gif
今日、ニューヨークの「今年の夏」が終わったな…と、そうボクは思った。

この日の夜、ニューヨークは雨が降っていた。寒がりのボクだから、こんな日には外出はしたくない。アパートで熱いコーヒーをすすりながらテレビを見ているか、CDを聞いていたことだろう…
肌寒かったろう、今夜のニューヨークは。しかし、ここクィーンズにある球場には、53,200人以上の人たちが地下鉄に乗り、マイカーで、中にはきっと飛行機でやってきた人もいたことだろう。この観客人数は、メッツ球団史上、球場新記録の観客動員数になってしまった。彼らのここに来た目的は、
メッツ対カーディナルスの第7戦を観戦するために…。

メッツの本拠地シェイ・スタジアムで行われる最後の戦いを見たい、その一心でこれだけの人々が悪天候の中、押し寄せていた。ここまで、3勝3敗。この試合に勝ったチームが、「リーグ優勝」の栄冠を勝ち取る。もう、なにも残っていない。2006年のリーグ戦としては最後の試合だ。

子供たちは父と手をつないで、メッツファンの恋人を持つ女性は彼に従って、サラリーマンたちも、学校の先生たちも…そして、遙々セントルイスからやってきたファンだっていたことだろう。日本の野球ファンがそうなように、アメリカ人も「おらがチーム」の「勝ち姿」をこの目で見たいのである。そして、その瞬間の歓びを、「おらがチーム」の選手たちとともに、大はしゃぎしたいのである。
「勝つ歓び」にひたりたくて…
a0094890_1644138.gif


1-1が続く。雨が冷たい… 両軍のベンチには笑顔が消えていたことだろう。激しい緊張感が選手たちに容赦なく襲いかかる。

第7戦では、エンディ・チャベス外野手がプレーオフ史上に残るであろうスーパープレーを見せた。6回1死一塁、カージナルスのスコット・ローレン三塁手が放った打球は雨の中、左翼方向に高々と飛んでいく。もしかしたら…いや、そんなことはない…両軍のファンたちは打球の描いた放物線に沿って視線を離さない。際どい、スタンドインか? それとも… 際どい。

打球がスタンドインすれば、カーディナルス勝ち越し2ラン!
両軍の全選手と53,200人の目が、その行方を追いかけた…。
「あっ、ホームラン! かぁ?」
この際どいボールを追いかける一人の選手…
雨でぬかっている地面を蹴って、メッツの選手がジャンプした!
チャベス選手だ! 
右手をフェンスの上に精一杯突きだしてのジャンピングキャッチ!
すばやく内野へ返球し、飛び出した一塁走者までアウトにした。
スタジアムは歓声がこだまする。大拍手が鳴りやまない。一生に一度見られるかどうかの、美技中の美技を53,200人の人々が見ていた…
「Amazing Mets !」の伝説がまたひとつ、加えられた。
a0094890_16443591.gif

その裏、メッツは一死満塁と攻めたが、モリーナ捕手にしてやられた。結局、試合は最終9回までびくとも動かない。延長戦かも、と言う気配も漂う。
しかし、動いた! カーディナルスが土壇場の9回表についに試合を動かした。

九回一死一塁だった。打席に入ったのは、モリーナ捕手。
初球の甘い変化球を迷わず振り抜いたバットから打球は高々と上がり、今度は間違えなく左翼フェンスを越える2ラン!

NYM1-3STL

九回裏、メッツは2死満塁と全力で反撃。だが、3番ベルトレン選手の見逃し三振で、今季ALの「物語」は決着がついた…。

カージナルスが、17度目のワールドシリーズに進出する。


a0094890_16445083.gif
そして、ボクの「夢」…
ニューヨークが春になるまでボクの「夢」は
白い雪の中に仕舞っておこう…
2006年のニューヨークよ! 君は力強い! 
その輝きはボクを魅了する!
 
ニューヨークよ、 覚えていてほしいんだ…
ボクには君と同じ「夢」があることを… 
また君が再び日射しを浴びて春の香りが風にのった頃、
ボクは今年以上の「夢」の袋をたずさえて
君に会いに行きますから…

オベリスクのような摩天楼たちよ! 
雪の下に眠る静かなセントラルパークよ!
ボクは来春、新たな君に「出逢い」に行きます。

(コラージュは筆者制作)
…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-20 19:26 | 第一章

後一本が出ないまま、終わってしまったカーディナルス…。
昨日の試合展開は、そんな印象だった。
メッツは、レイエス選手の先頭打者ホームランで先制、中盤4回、打撃の職人グリーン選手がセンター前にヒット! メッツは1点が加点されたが、その後は沈黙。お互いにチャンスをつぶし合い、両軍のベンチから笑顔が消えていた。
一方、何度もチャンスがありながら、後1本が出ないカーディナルス…

a0094890_16494513.gifそして、9回の土壇場。
先頭のエンカルナシオン選手がヒット、続いて、ローレン選手の2塁打で、3塁、2塁の好機。ノーダンだ。しかし、凡打が続きたちまち2死。
2死2,3塁で登場したのが、田口選手だった。簡単に2-0となったものの、あの粘りでレフト線際の待望のタイムリー! 2塁打とする間に、二者がホームに帰り、2点!

田口選手は、4打数4安打4打点 ここまで来れば、もう神がかっている。
かし、カーディナルスの反撃はここまでだった…


NYM4-2STL
これで、3勝3敗になった。

メッツ先発のジョン・メーン投手は今季まだ3年目の「新人投手」だった。カーディナルスの先発は昨季のサイ・ヤング賞右腕、クリス・カーペンター投手。もう、予想の大半は「メッツは今日で終わる…」はずだった。
なのに、メッツが勝ったのはなぜか?
ジョン・メーン投手をこうリードしたポール・ロデューカ捕手の功績か?
ボクは、こう読んだ。ロデューカ捕手のリードと言うよりも、作戦勝ち、出はなかったか、と。
徹底して「強打者」との勝負は避けた。プホールズ選手との勝負はしなかった。徹底ぶりはまさにお見事、感心した。若い投手だったら、「勝負したい」心境だろうが「チームの為に」ここは個人的プライドを棚に上げさせたランドルフ監督は、立派だった。「ダメなら、責任は私がとる」と言わんばかりの采配ではないか。

この作戦が功を奏してたか、ランドルフ監督の思惑通りの勝利に繋がった、とボクは読んだ。
a0094890_16501428.gif

ウィリー・ラリー・ランドルフ監督(Willie Larry Randolph)
1954年7月6日生 52歳。
2004年までの11年間、NYYでコーチをしていたが、昨年NYMの監督に就任した。
そして、いきなり低迷していたNYMを「W83 L79 .512」に立て直してしまった。
そして、今季。監督就任2年目にして、「W97 L65 .599」の成績をあげて、早くも地区優勝にまで上り詰めた。それも、大リーグ1番乗りの「スピード優勝」だった。
監督成績は、
2005 W83 L79 .512
2006 W97 L65 .599
通算成績は324勝180敗 勝率5割5分6厘

ヤンキースの名二塁手であり、1970年代後半のトップバッターである。
1976年から1988年まで13年間、NYYでプレーした後、1992年メッツで引退したのが37歳だった。1993年から2004年、NYYでコーチ。2005年にNYMの監督に就任している。
監督サンになって、まだ僅か2年目なのだ。

一方のカーディナルスのラルーサ監督は先日紹介したとおり、大リーグ監督として名監督である。
監督としての通算成績は2114勝1846敗 勝率5割3分4厘を誇る。
ランドルフ監督のおよそ7倍の勝ち星を積み上げてきた監督だ。

メッツ監督が「若い」ければ、メッツの選手たちも「若い」。「若い」という表現は、年齢ではなく、キャリアである。

a0094890_1651164.gifそもそも、メッツ4番打者デルガド選手は
「俺は約12年半もプレーオフに出られなかった(実際は今季がメジャー14年目)。野球選手ならば誰だってプレーオフに出て、勝ってみたいものだ」とコメントしている。
「俺たちはいつだっていいプレーをしてきたし、楽しんでプレーしてきた。自分が打つのもいいが、きっと勝ち上がったときのほうが、もっとうれしいんだろうな」と語ったほど、「10月決戦」には縁のなかった選手たちがいる。
キャリア不足、がメッツの特徴なのである。
その点、カーディナルスは「ワールドシリーズ制覇9回」の歴史を誇る古参のチーム。短期決戦の勝ち方の「Know-how」は充分知り尽くしているチームだ。

それを承知した上での、昨日の試合展開。ランドルフ監督の采配は、ズバリ的中している。
「無理させない術」を、若きメーン投手に授けたと感じたのは、ボクだけではあるまい。それを守ったバッテリーもスゴイ…。この戦法は、相手チームをイラ立たせた。

今季、NLもALも、「10月決戦」はSweepが目立って多かったが、このカードだけは興味深い。


a0094890_16512361.gifそして、現在のメッツはやがて数年後、ニューヨーカーたちの「伝説」になっていることだろう。


新星対古参の激突…だった、と子供たちに語り継いでいくのだろう…。


間もなく、その「物語」のすべてに決着がつく。



(コラージュは筆者制作)
…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-20 06:12 | 第一章

3勝3敗!

a0094890_4113957.jpg

美しすぎた…

この試合をボクにどう書け、というか…。

感動して、言葉が見つかりません。もう少し待ってください、自分を冷静にしてから今日の試合を綴って見ますから。

これで3勝3敗。明日、すべてに決着がつく…
優勝経験の少ないメッツの選手たちと、2年ぶりの優勝を目指すカーディナルスが、明日、初冬のニューヨークの空の下。決着をつける。

…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-19 13:30 | 第一章

リーグ優勝に王手をかけたのは、セントルイスカーディナルスだった!
あのメッツ打線を相手に…
a0094890_19174692.gif

あの破壊力№1を誇るメッツ打線に打ち勝った! あのメッツ打線に、だ…。

さあ、みんなぁ~いそがしくなったぞぉ~。
ニューヨークへ行って、行って!
全世界のベースボールファンたちよ、ニューヨークへ行こう!

「シンジラレナ~~イ」

日本ハムヒルマン監督だったら、こう言うだろう。カーディナルスの打線は、ねばり強い。
プホールス選手が覚醒しちゃったのだ!
このリーグ優勝決定シリーズでは第4戦まで本塁打はもちろん打点すらゼロだったのに…。


a0094890_19171927.gif相手の主砲を目覚めさせてしまったのは、メッツの大黒柱グラビン投手だった。この「10月」は、16イニング無失点だった彼が…。精密機械が壊れたように、プホールス選手に打たれた後は、目を覆いたくなるようなごくごく平凡な投手に…。
メッツ打線は完敗だ。先発ウィーバー投手の投球術に完全に、してやられた恰好。
バレンティン選手の2塁打で、2点取っただけ。これでは、メッツ打線はつながらない。

さあ、明日はニューヨークで試合がある。

セントルイスが決めるのか、
それともメッツが逆王手をとるか。

より多く、打ったチームが「勝ち」を獲る…
より多く、打たせなかった投手が「勝ち」を獲る…
この矛盾が世界のベースボールファンを熱狂させてくれる。

もっとも、たった1本のホームランだけで「勝ち」を獲ることがあるのが、このゲーム。
「Amazingの物語」
が尽きない、それがベースボールの物語。

(写真はYahoo!sportsより)
…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-18 15:18 | 第三章

んーー、やっぱり…か。
ニューヨークメッツは、ほんとに強い。言葉が見つからないほど、その強さは絶大だ。
余裕の勝利だのゆとりあふれた勝利だの…そんな文学的表現は今のメッツの勝利法には、ふさわしくない。むしろ、きっちりとした数学的運動量、という観点で観戦した方が、その強さの秘密を発見できるだろうとボクは思う。

f0012316_1833648.gifメッツの勝ち方は、偶発的な得点、という点の取り方はない、ということだ。思いもよらない本塁打が飛び出す…なんてことは、あり得ない、ということ。それで勝った、なんて試合は今季どこにもなかった…。
思いがけないことがことが起きるのが、ベースボールである。それを期待して私たちは球場に、テレビの前に集合する。
思いがけないこと…だから、そうそうあるものではない。162試合中、1,2試合だろう、それを見られるのは…。例えば、今季ホワイトソックスのショートストップ井口選手が、体が倒れる、地面に落ちる、まさにその瞬間、スローイングして1塁でアウトを取った。こんなプレーは、思いがけない美技だ。そうそう見られるものではない…。打撃となると、もっとそれが顕著になってくる。

思いがけないことをして、勝っていたから「アメイジング メッツ!」だった。それがいままでのメッツ、だったではないか。そして、その姿がメッツの「伝統的チームカラー」とさえ思っているファンたちが多く、メッツというチームに群がっているファンの特徴でもあった。
映画「オーロラの彼方へ」(原題:FREQUENCY)がそうだったように、メッツはロマンチックなチームだった…。はなはだ失礼な表現をさせていただくと、「女性的紳士」という印象が今までの「伝統的メッツ」だったろう。やさしくて、穏やかで、人格を優先する、そんな知性派文学的チーム、だったのである。
クィーンズの象徴としての「メッツ」だった。ブロンクスのヤンキースとは、この点が違っている。
往年のメッツファンたちは決まってこう言う。
「ヤンキース? んーー、あのチームはブロンクスだろ」と。

だが、現実はすでに違っている。彼らの歴史は、現在のチームによって、完全に塗り替えられた…。かつてのヤンキースの姿、そのままではないか! 暴れん坊メッツ、に変身している!
目の前にいる「メッツ」は、ロマンの欠片(かけら)すら、ない。偶発的勝利なんて、どこにも存在しないのである。相手のエラーが勝利に結びついた、なんて試合もいまのメッツにはもう起こってこない。
その勝利は、「徹底した数学的破壊力」、そのものである。その勝ち方は、見ているボクには、驚異であり、恐怖でもあり、高熱を放つ人間の体温であり、早まる心拍数であり、そしてなりよりも目を見張るのは、あのスピード、だ! 大リーグ1番、とボクは測定している。

だから、怖い、のである。

いま、メッツを相手に戦っているのが、「セントルイス」だ。歴史の浅い米国内では珍しく、この地には歴史を感じる。まあ、物書きたちには絶好の土地柄だろう。至って、文学的、である。
日本からやって来たひとりの地味な選手「田口壮選手」も、このチームカラーにうまくマッチしている。書きたくなる素材、なのである。「アメイジング」を感じ取れるからだ。感じた体験を文字にして自分の心をスケッチしてみる。そんな後味の良さを抱くのは、ボクには「セントルイスカーディナルス」である。

f0012316_188436.gifだが…。メッツは、書きにくい。
書きたくないのではなくて、書きにくい。それも、「実に書きにくい」のである。ロマン、がないから。
その試合運びは、彼らの主目的である「勝利」から、寸分も狂いなく運ばれていく。ここでこうなって、この選手がこうして、そして、最後はここで終わる…と、あたかも観測、測定されていたかのように、「勝利の設計図」に従って試合は流れていく。メッツが負けるときは、測定値に「狂い」が生じたときにだけ、惨敗している。さらにメッツが恐ろしいのは、その「狂い」を翌日にはきっちり「修正」してプレーできる選手たちだと言うことだ。
これは、恐ろしいことだ。とくに、この短期決戦、では。

今日の試合はまさにそうだった。
NYM 12-5 STL

「セントルイス」相手に「クィーンズ」は、勝ちすぎである。お上品な勝ち方とは言えないほど、完全に相手を破壊し尽くした…。汚い言葉で言えば「叩きのめした」。「やられたら、倍にしてやり返す」それが現在のメッツだ。繰り返して言うが、もう往年のメッツはどこにもいなくなった。今のメッツは、歴史とは無関係のメッツ、なのである。相手をとことん「叩きのめすチーム」になったと言うことだ。超人的破壊力を武器にして、容赦してくれない。「徹底した勝利」と「確信した勝利」を納めるチームなのだから。
強い、ほんとうに今のメッツは、強い…。

f0012316_18111361.gifこれが、破壊力№1「メッツ打線」である。

1.レイエス選手#7(ショート/生え抜き4シーズン目)
2.ロドゥーカ選手#16(キァッチャー/今年FLAから移籍)
3.ベルトレン選手#15(センター/昨年HOUから移籍)
4.デルガード選手#21(1塁/元来TRO、今年FLAから移籍)
5.ライト選手#5(3塁/3年目の生え抜き)
6.グリーン選手#20(ライト/TOR、LAで、ARIから今年移籍)
7.バレンティン選手#18(2塁/MIL,CWSで、LADから今年移籍)
8.チャベス選手#10(レフト/PHIから今年移籍)

本日の試合は、1点ビハインドの2回。
3番ベルトレン選手と5番ライト選手があっさり本塁打して、逆転。
3回、セントルイスは同点にしたものの、5回には、
4番デルガード選手の3ランで、再び逆転。5-2。
6回。1番レイエス選手からバレンティン選手までの集中打で6点を加点。
7回には、またしてベルトレン選手の本塁打…

12-5 の、圧勝だ。
これでNYMは、STLとの対戦成績を2-2のイーブンに戻してしまった。

f0012316_184931.gif明日、またセントルイスでこの両軍の試合がある。

…ヤンキースを熟知している松井選手の「夢」を一緒に追いかけている仲間たちに告ぐ!

ボク達は来季、必ずこのメッツとの対戦になるだろう…。だから、見逃さない方がいい。
メッツの強さの秘密を知っておくべきだ。この恐ろしいまでの破壊力を、見届けておいた方がいいとボクは断言しておこう。

明日、勝ったチームが、リーグ優勝に王手をかける。

(コラージュは筆者制作/Yahoo!sportsサイト)

…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-16 18:30 | 第一章

a0094890_16585153.gif「何が起こったのか、よく分かってなかった。だから、とにかく走った」
田口選手は使い慣れた英語で、そう記者に笑って答えた…。
今年、37歳になった。日本球界ではすでにベテラン選手と呼ばれていることだろう。彼のひとつ年上の選手に、巨人軍の桑田投手、オリックスの清原選手たちがいる。

田口壮選手。
2002年、セントラルカージナルスに入団。
セントルイス・カージナルス(St. Louis Cardinals)は、アメリカメジャーリーグ、ナショナルリーグ中地区所属。本拠地はミズーリ州セントルイス。発足は、1875年。1892年にナショナルリーグに移籍した。
現存するメジャー球団ではもっとも長い歴史を誇る球団だ。
ナショナルリーグ中部地区では圧倒的な実力を誇り、主催試合での観客動員はメジャーリーグでもトップクラスの人気球団である。プレーオフ出場の常連チームであり、「ワールドチャンピオン9回」は、ニューヨーク・ヤンキースに次いで史上2位なのだが、1982年以後世界一から遠ざかっている。2004年はレッドソックスに破れ、「ワールドチャンピオン」になり損ねたことは記憶に新しい…。

背番号99は、田口壮選手の「誇り」の表現である。
大リーグ選手の現役で、これ以上重い数字を背負った選手はひとりもいない。「最後の数」が、きっと田口選手にはお気に入りなのだろう。もう、後がない、という緊張感も抱きながら…。
田口選手は、そんなに派手な選手ではない。33歳で太平洋を渡った。そう、あの「夢」を抱いて。
大リーグでの成績は、通算打率.281 本塁打16 である。今季本塁打は134試合に出場して、2本だけ打っている。この極めて地味な数字を見る限り、田口選手がまだ大リーグに残っていることが不思議に思う人たちも多いだろう。派手さが売り物、それが米国ベースボール、と思っている人たちには。

しかし、それにしても…田口壮選手の選手寿命がなぜこんなに長いのだろうか…。
なぜ、ラルーサ監督は「ソウは素晴らしい選手だ」と彼をあれほど高く評価しているのだろうか。
a0094890_1659955.gif
トニー・ラルーサ 監督(Anthony LaRussa Jr., 1944年10月4日生 NY州出身 )について、少し書いておこう。
英語とスペイン語のバイリンガルで会話している。「対話」を重視している人物である。
1979年のシーズン中に、若干34歳でシカゴ・ホワイトソックスの監督に就任。1983年にはアメリカンリーグ西部地区を制し、最優秀監督賞を受賞。その後1986年のシーズン中にホワイトソックスが26勝38敗とつまづいた責任から、解雇されたことがあった。

ホワイトソックスから解雇された3週間後には、オークランド・アスレティックスの監督に就任している。
マーク・マグワイア、ホセ・カンセコの通称バッシュ・ブラザースを擁して、1988年から1990年まで三年連続でワールドシリーズにチームを導き、1989年にはサンフランシスコ・ジャイアンツを降してワールドシリーズを制覇する。1988年に二度目、1992年に三度目の最優秀監督賞に輝く今や米国大リーグを代表する名将監督の人格者だ。

1995年にアスレティックスの監督を辞任、そのままセントルイス・カーディナルスの監督に就任し、1996年、2000~2002年の4回ナショナルリーグの中部地区優勝を果たしている。

2004年までの監督としての通算成績は2114勝1846敗、勝率5割3分4厘、そのうちカーディナルスでは794勝663敗、勝率5割4分5厘である。ア・リーグとナ・リーグの両リーグを制覇した史上六人目の監督であり、通算2114勝は歴代六位である。また、両リーグで最優秀監督賞を受賞した二人目の監督でもあり、ラルーサ監督は紛れもない現代野球の最高監督の一人である。
オークランド・アスレチックスを代表とするビッグボールに対抗し、ベースボールの基本である伝統的なバント、盗塁等の小技を用いるスモールボールを好む監督としても、その戦術は有名である。
スター選手ひとりが活躍するチームよりも、「全員野球」で勝利するチーム創りをしている監督なのである。選手ひとりひとりの「特性」を引き出す監督、ということになる。

従ってカーディナルスの選手は、「走る、打つ、守る」この基本動作に忠実になる。
それを熟知しているのが、この日本からやってきた地味な選手、「田口壮選手」だったのだ。彼は実に野球を知っている選手、とラルーサ監督の目には映ったというわけだ。自分を犠牲にしてまで自軍のランナーを進塁させることをいとわない。田口選手の打法も、右に左と打ち分ける技を持っている。そして、足は速い…。粘り強く、忍耐出来る。

ラルーサ監督の目には、田口選手の特性は野球選手として最適であり、また秘蔵っ子、である。
「ソウの気持ちと私の気持ちがひとつになっているから、時々気味が悪くなる」と言って記者を驚嘆させたことすらあったではないか。それほど、田口選手を大切に、まるでトランプゲームの「切り札」として、とっておいている。なにかあったら、この「カード」を、と。

そんな地味な選手が、この「10月」に、あの「夢」を抱いてラルーサ監督と仲間たちとともに、グランドに向かっている…。

今シーズン、田口選手は134試合に出場して、316打数のうち本塁打はたったの2本だった。
なのに、この「10月」には、代打出場して2打数2本塁打の大リーグ記録まで創る大活躍ぶり。

昨日のことだ。Amazing ! が、起こったのは…。それはまさに「夢物語」にふさわしい伝説になった。
メッツ戦6-6で迎えた9回表、田口選手の打球は左翼スタンドに吸い込まれていく。
逆転本塁打!
この大舞台で、地味な選手が超派手なプレーをしてくれたものである。
しかも打った相手はメッツの守護神ビリー・ワグナー投手を打ち込んだのである。

ワグナー投手との対戦は、過去5打数無安打。しかし、ラルーサ監督は「ソウ(田口)は終盤にいい働きをする」と、起用を迷わなかった。田口も最初のファウル(2球目)で「(タイミングは)大丈夫だと思った」。球が見えていることを確信すると、粘った末、9球目を見事にとらえての逆転ホームランだった。
左腕からの快速球を武器に今季40セーブ、通算324セーブを挙げている屈指のクローザーだ。
同点の9回からマウンドに上がったワグナー投手は、途中出場の田口選手を先頭打者として打席に迎える。ここでワグナー投手はあっさりとカウント2-0と田口選手を追い込むが、結局フルカウントから2球ファウルで粘られた後の9球目、98マイル(約158キロ)の速球をレフトフェンス越しに運ばれた…。

a0094890_1658454.gif
そのワグナーが13日のセントルイス・カージナルスとのナ・リーグ優勝決定シリーズで繰り広げた、田口壮外野手との勝負を振り返って、こう言っていた。
「いい勝負だった。フルカウントになった後は、高めの速球でポップフライに打ち取るつもりだった。田口は速球に強い、いいバッターだ。彼は俺との勝負に勝った」と。
田口選手の逆転本塁打で、カーディナルスはメッツと1-1のイーブンにした。

もう日本人選手は誰もいなくなった「10月」と思っているファンもおられたことだろうが、ドッコイ、
ここに地味な男の「田口壮選手」がいま、一生に一度のチャンスに「夢」を託して戦っている…
相手チームは、ニューヨークメッツ。ヤンキースとその人気を二分するほどの超人気球団。
1962年発足して1969年にワールドシリーズ初制覇。「Amazing Mets !」の名前を全米に轟かせた。2000年、そのメッツを相手にリーグ優勝を賭けて戦ったが、1-4でカーディナルスは敗退している。あれから、6年が経った…。

a0094890_16573330.gifいま、ラルーサ監督は手塩にかけて育て上げた選手たちとともに、ニューヨークメッツを追いつめる。
この際である、はっきり言おう。今年のメッツは球団史上最強チーム、だと。
今年のメッツは、史上最強だということを大リーグファンならずとも、ニューヨーカーなら誰もがわかっていることだ。ヤンキースファンのボクが言うのもおかしな話だが、今年のメッツは強い。ほんとうに、正真正銘、本物の大リーガー軍団である。強い。こんなにスゴイNYMはその歴史上に存在していない、と断言できる。その破壊力はいまの大リーグでは、一番だ。
もし、いまのヤンキースが…いや、よそう。「もし、と、たら話」は…。ボクは今シーズン開始直後から感じていた…。同じNYにいるチームのこと。メッツの動向は気になって仕方がなかった。とくに、夏場の7連勝、8連勝には…。
「このメッツを一体どのチームが倒すんだろう」と。


そして、今日!
なんとなんと、なんと…
「STL 5-0 NYM」
メッツ打線を完封したではないか! これでカーディナルスは2勝1敗。
あの世界一おっかないメッツ軍団相手に、カーディナルスは優勢に転じた!
1.レイエス選手 2.ラドゥーカ選手 3.ベルトレン選手 4.デルガード選手 5.ライト選手 そして、かつての安打製造器の6.グリーン選手(この打順が不気味。なんでグリーン選手が6番?こわぁ~) この6人の打数合計20 安打はわずか2。この6人に対して、奪三振1 与四球1だった。
スーバン投手は、打たせて取った。守りの野球に徹したのである。ラルーサ監督の真骨頂をこの試合に見たのは、ボクだけではあるまい! そして今日もまた、田口選手は8回から守備固めとしてレフトにはいっていた…。

a0094890_1657257.gif果たして、
「Amazing !」
は、どちらのチームになるのか… どの選手になるのか… 
その決着は間もなく、つく。

NLでは「デトロイトタイガース」が4連勝して、リーグ制覇を成し遂げた。
「タイガース」のワールドシリーズ進出が決定した。
(コラージュは筆者制作)
…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-16 03:33 | 第一章

このアパートに戻って、お風呂にお湯を溜めている…。
それまで時間があるから、コーヒーにしようか…それとも、牛乳をマグでチンするか…
面倒臭いから、日本茶で…。

トラヴィアータの二重唱でも聞くか… そう思っていつものようにCDを出そうとしたら、指が引っかかって別のCDが棚から落ちた。
「GOD BLESS AMERICA」
だった。911のチャリティー盤だ…。

なんでこの場に及んで、よりによってこのCDがおっこってくんのぉ…。

いま、それを聞きながらこの原稿を書いています。


a0094890_17111178.gifヤンキース。
ボクの憧れ。自由で力強く、その歴史に輝きを放って、人たちに勇気と感動を与える。
ヤンキース。
大都会ニューヨークの象徴。豊かさと貧しさと、期待と裏切りと、歓声と罵声と、美しさと醜態と、栄光と挫折…すべてが混合した大都会同様に。タキシードを着た田舎者であり、冒険好きでスキャンダラスな紳士でもある。


その、ヤンキースの「夢」が今日で終わった…完全に、である。

この結果に、彼等に裏切りだと憤る人々がいる。希望の星が落ちたと嘆く人もいる。あたかも犯罪が起こったかのように騒がしい文字が新聞紙上で躍っている。
騒がしい。
騒ぎが大きいのは、相手があの「ヤンキース」だから。

ベースボールって、不思議なスポーツだ。
今日で、「ヤンキースの夢」の決着は付いたのだ。だから、完全に終わっているべきなのだ。とくに、ボクのような「ヤンキースキチガイ」のベースボールファンには。これから残っている試合があろうとも、お目当てのチームが消えてのだから、終わった…はずだ。

だが、不思議なことに「続く」のである。終わっていないのだ。ここが、ベースボールの不思議さだ。
終わるどころか、たった今でさえ以前とは比べものにならないほど、ボクの「夢」は膨らんでいる…。

では、もし、「ヤンキース」がボクが抱いたとおりの「夢」を現実にしていたとしたらどうなるのか…。
「夢」が叶ったのだから、それでようやく幕を下ろせるのか…。
いや。
やはりまた、「夢」は更に大きくなっていたことだろう。

要するに、いずれの結果になろうとも、ボクは「ヤンキース松井選手」に「夢」を託しているから「夢」が消滅することはない。
今年の「夢」は途中で目が覚めてしまったが、またボクは「夢」を見に行くために、眠りにつく。

ボクの「夢」の中で、子供のようにはしゃぎまわろう…。
2007年4月が来るまで、この「夢」を封印しておこう。

今までボクは自分の見る「夢」は、ひとりぼっちだろうと思っていた。身勝手なボクだから。自分だけの部屋みたいなものが「夢」だとばかり思っていた。
だから、自分の心の記録として、このブログを綴ることにした。そして、書き始めた。


そうしたら、ボクの人生に異変が起こった。ボクと共通の「夢」を抱いて生きている人たちと、現代機器PCを使って交信が生まれたのだ。
見ず知らずの人たちから、コメントが飛んでくるではないか!
ときには共感であり、励ましもあった。そのコメントからボクは、その人の人柄を感じ取ろうとする。
ときには、PCの前で大声出して笑い、ときには、泣きながらその文章を読んだ晩もあった。
書きたいという衝撃がまったく起こってこない日が続いたこともあった。書かなくては、という義務感もあった。
たかが、ブログ、なのに。いつでもやめられるのに。
でも、今は「なにかのため」に書いているような気もしてきた。自分だけの記録、ではなくなってきた。
社会性とでも言うか、責任感とでも言うか…

ボクは、ヤンキースの試合結果ばかりが気になっていたが、このブログにコメントしてくれる人たちに興味がわいてきた…。
どんな人生を送っている人なのか、年齢も、好きな食べ物も、どんな失敗と成功をした人たちなのか、人生でどんな事を成し遂げようとしている人たちなのか、友だちは多いのか少ないのか、だいいちどこに住んでいる人たちなのか、職業だって知らない人々と、ボクはこの「ブログ」を書くことで出逢うことが出来た。

松井秀喜選手の「夢」が、ボクたちの間にいる。

松井選手が、世界中に散在するベースボールファンのボクと個人を繋げて、「ボクたち」にしてくれた。
「夢」が広がっていく…。広がったぶん、「夢の環」が生まれた。
これは、ボクにとって、驚異的現実だった。

こんなことがボクの人生に起こるなんて、予想も想像も出来なかった。
音楽と演劇しか知らなかったボクが、松井選手の「夢」を見つけてたことで、かかわることがなかったであろう人々と出逢い、気持ちを伝え合っている。ときには、「あの人からの」と期待してコメント欄のちっちゃな文字をクリックするときもあった。

このブログを通じて、たくさんの人たちと知り合えました。

ブログ機能も、ブログの「ルール」をまだ全然わかってない、書く作業しか知らないボク。
2007年4月までには、少しでも学んでおくことにします。そして、文中での注意点などがあったら「ブログのルール」を知らなすぎるボクなので、ご指導いただきたい、と願っています。その都度、正していきます。

ヤンキースの今年度は、今日で終わりました。
でも、まだ「ワールドシリーズ」まで対戦が続いています。この対戦はテレビ中継で見ていますが、平凡なひとりのベースボールファンとして、最後の決着まで見届けます。

ボクは、たとえヤンキースの試合がなくても松井選手とヤンキースから目を離しません。その度にこのブログを書き続けます。

松井選手の「夢」と一緒にいたいから… そして、みんなとのかかわりを続けていたいから…

2007年4月まで、みんなの「夢」をもっと大きなものに育んでいてください。
ボクもみんなに負けないくらいのデッカイ「夢」にして、来季に挑戦しますから…

そして、松井選手もまた自分の「夢」を今年以上に大きなものにして、来季、ヤンキースタジアムに帰ってくるのだから…。

ボクの「ブロ友」…
ヤンキース選手たちとコーチ陣…

そして、松井秀喜選手…
あなたの「夢」をボクに見せてくれて、ありがとう。

感謝!
f0012316_2114112.gif

…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-09 02:22 | 第一章

IN GOD WE TRUST

みなさん、神様の存在を信じますか?

なに、なになにぃ? のっけから、宗教のお話かよぉ~~
と、早とちりしてマウスを動かさないでください!

ホラ、野球中継しているアナウンサーが時々、
「勝利の女神は…でしょうか」とか、言うじゃない。この時の、女神って、なんでしょうねぇ。
まさか「自由の女神」を指して言ってるんではないでしょう?

あなたは、「勝利の女神」の存在をその目で見たことがありますか?
勝利の女神がいるか、いないか…の立証はどちらも出来ません。神様がいるか、いないか…立証はどちらも出来ません。

いるのか、いないのか…ではなくて、その「存在」を、「信じるか、否か」です。
いま、ボクの手元にはないけれど、米ドル札には、「IN GOD WE TRUST」って書いてあったと思うけど…。「ボクたちは神の存在を信じる」と。この言葉が印刷されたお札を、米国人たちは誰ひとりとして文句を言っていません。この言葉が印刷したお札を、米国人は100年以上も、日常使ってきました。

なんだよぉ、野球と宗教の話なんて関係ねぇじゃねぇか、よぉ~、とのお言葉が聞こえてきますが、
まあ、聞いてくださいませ。

日本の古くからある言葉に、
「困ったときの神頼み」って、あるでしょ。
自分が困ったときだけ、人生で危ういと感じたときだけ、仏にすがる人…の、ことです。
日本の神様はいたって寛大です。まあ、そんなおすがりをしただけでも、しないよりは心が穏やかになるのなら、それでいいだろう、と。素適なことです…

ベースボールの選手たちの中にも、それぞれが信仰を持った選手もいます。自分が善いプレーが出来たとき、天に向かってキスを送る選手…或いは、ズバリ自分の胸に十字架をきる選手…様々な形で、自分の素晴らしいプレーを「神様」に自分の方法(失礼! 宗派の作法、と書くべきか?)で報告していますね。
a0094890_17162241.gif

はじめてヤンキースタジアムに行って、生の試合を見たときです。
「アッ 神様にお祈りしてる…」「十字架きってるぅ!」
こんな光景は今では見慣れましたが、あの時のボクは野球のグランドで初めて見たから、大変な衝撃でした。大リーグの選手たちが、こんなことを平気でするんだぁ…、と。
若かったボクにとっては試合以上に大変印象に残った出来事でした…。

日本ではミッション系高校野球選手以外には滅多にありませんが…いずれにしても、ボクは、こうした選手に対して思わず、理屈抜きに「素適な人たちだなあ」って思っちゃうのです。
自分のお手柄は自分がやったんだぁ!自分が出来たんだぁ! と、自慢げに叫ぶ前に、あたかも「神様が自分にそれをさせてくれたんだ。ありがとう、神様」と、言わんばかりの表情です。
その謙虚さと、潔さにボクは人が神様への恐怖感や下僕になった姿ではなくて、逆に人間の生きる命、そのものを感じます。

日本の野球界に比べて、ボクが大リーグを好きなのは、そんな「人間臭さ」をたくさん感じる場面が多いからです。生きている責任感、とでも言うか…。みんながここに集まって、「これ」をする人間的なよろこび、とでもいうか、そんな人たちの息吹と輝きをスタジアムでは感じるのですよ。

選手の美しいプレーに手をたたいて起こる拍手のこだま。
風を切る瞬間に出る甲高い衝撃音の尾を引く響き。
大地を駆け抜ける走る風の音。
白球がスタンドに消えたときに巻き起こる呻るような歓声と地響きの音…。
投げる、走る、獲る…すべての音たちは、神様から生きている人たちへの贈り物なのか、と感謝したくなるときだってボクには、あるんです。

で、ボクなんですが、ね。
ボクは「野球の神様」の存在を信じています。絶対に、いる、って!

でね。
この神様は、一生懸命プレーしている選手たちに「光」を与えてくれます。
過去どんなことをしてきたか…なんて、そんな古いことは見ていません。
「いま、君は生きている自分の全部を使ってプレーしているか」を見守っていてくれるのが、
「野球の神様」なんです!

この神様は、人のおごりを嫌います。この神様は、人の怠けを許しません。この神様は、みんなのことを考えて行動している選手に「光」を与えます。自分中心の選手を、嫌います。

アッ、笑ったでしょ! ホント、だよ。
ウソだと思うなら、グランドに行ってごらんなさいな。そして、耳を澄まして音を聞いてごらんなさい、目を見張って見てごらんなさい。グランドでプレーしている選手たちの姿を。
ここのいるすべての選手たちは、米国を代表する「神様に祝福」を受けた選手たちなのですから。
誰ひとりとして、怠慢なプレーや自己中心的プレーなんてしている選手はいないのです。

「いま、出来ることを精一杯プレーする」
と、野球の神様に誓った男たちが、いま、最後の戦いをしようとしています!

是非是非、見てあげてくださいませ。神に祝福された男たちのドラマを!
果たして、どっちに「光」を与えてくださるのか…
a0094890_17155268.gif

…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-08 00:52 | 第一章

NHKBSの録画中継を見る余裕などなく、PCをオン! サイトが立ち上がるまでがもどかしい…。

立ち上がるまでの時間、いつものようにFAIRWAYで購入したフレーバーコーヒーをおとす。出来上がるまで、冷たい水で洗顔だ。冷たい水がボクの意識を覚醒させる。タオルで顔を拭いて、NYYのマグにフレッシュなコーヒーを注ぎ、PCの前に座る。
さあ、一番気になるサイトは…。

NYY3-4DET

僅か、1点差で勝敗が分かれた。慌てる。気になるから、ボックススコアにアクセスして、自分なりに流れを読む。
松井選手は4打数3安打、1得点を記録していた。
この得点は? 記録を追いかける…。4回裏、1番打者デーモン選手の3ランに繋げたんだ! と知ると、なんだか誇らしい気になってきた。
しかし、NYYの得点は「3点」のみ。このデーモン選手の3ランで、その後の追加点がなかった。

主軸は? 3番アブレイユ選手1安打 4番シェフィールド選手2三振 5番ジョンビ選手2三振 6番A・ロッド選手3三振… これではっきりする。デトロイトの投手がスゴイってことだった。

そのスゴイ投手陣を相手に、3安打した松井選手の踏ん張りが美しくもまた、心痛い。
a0094890_1846557.gif

ベースボールとはなんだったのか? その原点をボクに教えてくれた試合だった、と思った。
ベースボールは点取り合戦。要は、ルールに沿って「得点」を多く獲ったチームが勝つ。単純な話だ。打者たちは点を取りに行く。投手は点を与えない。この矛盾がベースボールの醍醐味だった。

チーム内でひとり、気を吐いても、チームが勝利にはつながらない。それが、ベースボール。

確かに、ボックススコアだけ見れば、4-3の松井選手が大活躍してくれたことはうれしいが、松井選手だけ気を吐いても、他が沈黙したら…。
ボクが望むNYYの試合は、松井選手が打って、そしてチームが勝つことか? いやいや、そうではない。NYYが勝った試合に松井選手が大活躍していたんだ、という物語を望んでいる。
「マツイが打ったんだからいいじゃないか!」
と言うような、マツイファンではない。
ボクは恐縮だが、そのようなマツイ信者、ではないことをここに記しておきます。

松井選手がなんのために巨人軍4番打者の看板を捨ててまで太平洋を渡ったのか? なぜ、NYYに入団したのか? 彼の「夢」の原点はなんだったか? 自分さえ活躍して、目立っていれば満足…か?

ボクは、違うと思う。
ニューヨーク5アベニューかパークアベニューか…この道を、NYYの仲間たちと凱旋パレードをしたいはずだと、ボクは思っている。青空の下、舞い散る紙吹雪を浴びたい、と…。
NYYのみんな、とともに!
その「夢」に、ボクは乗ったのだ。そして、共通の「夢」を持つ人たちがこんなに多かったことも、このブログを書いて、知りました。
今日は松井選手が豪腕バーランダー投手を打って、デーモン選手の3ランホームランに繋いだ、という物語で終わってしまった。この本塁打で一旦は逆転しているが、それまでだった。

あとは、この試合に勝利した「デトロイトの物語」を読み、そして聞くことになる…。

ボクはNYYのファンだ。正直、相手チームの「物語」を聞く気にはなれない。心が狭いと言われてもいい。今日は相手チームの勝った物語を散々聞くことになるだろうけれど、それよりボクはなぜNYYが今日の試合を落としたのか、「負けた物語」を聞きたい。そして、それを明日の試合に繋げて欲しい…。
で、して欲しくないことがある。それは、個人攻撃だ。
「アイツのせいで負けた」という論調が得意だが、そうだろうか。チームが負けた、のだ。
A・ロッド選手への厳しい論調が目立っている。確かに、記録上ではお世辞にも、それでいいですよ、なんて言えたものではない。カノー君も大変だ。シェフィールド選手も…。
でも、彼等がわかっている。彼等の「夢」をご存じだろうか? A・ロッド選手もシェフィールド選手も、ジョンビ選手、そしてカノー君も、みんな共通の「夢」を抱いて自分の持ち分をはっきしている、ということを。

個人攻撃は「夢」を疑っていることになる。
ただ、イライラはしますよ。或いは「あ~~、そこでエラーすんのかぁ」「もうぉ~」「三振! なんで打てねぇの」とその場その場で罵声は出ます。それをしたいのです、ボクは。でも、したくない、試合後に個人を責めるのは…。

ベースボールの不思議さは、「明日また試合がある」「来季へ」という言葉があることだ。
一日の試合結果はそれまでだが、今日の続きがまだ残っている。
そう、「希望」があるって言うことだ。なんだか、ベースボールって人生みたいだ。間違えても、次には訂正できる。「希望」がある、から。
a0094890_18454539.gif

そんな「希望」を見せてくれる監督のことを、きっと名監督というのだろう。
NYYのトーリ監督とDETのリーランド監督はともにキァッチァーだった。2003年、トーリ監督はリーランド監督にワールドシリーズで敗れている。NYYのポサーダ捕手とDETのI・ロドリゲス捕手は大リーグを代表する名捕手の現役だ。2003年、ポサーダ捕手はI・ロドリゲス捕手にワールドシリーズで敗れた…。NYYとDETの「10月決戦」の「物語」は、完全な「捕手対決」といえる。
音楽だと「ソナタ形式」ってことになる…。
そして、今日。ポサーダ捕手が打席に立ったとき、豪腕バーランダー投手の投げる球を粘りに粘っている。3打席で、30球以上投げさせている。そして、2つの四球を獲った。これもまた、捕手的チームプレーに思われた。松井選手が安打して1塁へ、ポサーダ捕手が粘って四球。一塁、二塁になったところでデーモン選手の本塁打。3ランは「チーム」で創ったといえる。
さらにまた、ポサーダ捕手は好打者でもあるI・ロドリゲス捕手に対して、いままで8打数2奪三振とまだ1本たりともヒットを許してはいない。そして本人ポサーダ捕手は、今日までの2試合で、6打数3安打。2四球を加えると出塁率は.625と絶好調だ。

NYYは、2003年の時のように同じ過ちを繰り返すのか、それとも「形式」を無視できる試合運びが出来るのか。

今日の試合で、その「形式」に異変を起こした。それをやったのが、NYYトーリ監督だ。
ブルーニー投手の起用である。
9回表4-3、1点のビハインド。攻撃は9回裏しかない。1点たりともDETに加点させるわけにはいかないという緊張した場面だった。その場面で起用したのが、ブルーニー投手。まだ24歳で、NYYのメンバーから見れば新人だ。その投手をトーリ監督は起用したのである。ブルーニー投手は監督の期待通り、2奪三振の好投で締めくくって、9回裏に望みを繋げてくれた。

ブルーニー投手。2004年にアリゾナダイヤモンドバックスで大リーグデビュー。今季NYYに移籍した。19ゲームに登板して、防御率0.87! こんなにスゴイ投手を温存していた…。トーリ監督のマジックだ。おそらく、DETではブルーニー投手のデータはさほどあるまい。そして、NYYファンでさえブルーニー投手に馴染みはなかったろう。今日、見事な投球結果ではないか。
a0094890_18453030.gif

明日も試合がある。
打って勝つか、守って勝つか…この矛盾したゲーム「ベースボール」に、ボクはNYYの打線が「打って勝つ」を選びます。そんな「夢」を見させてください。

…NY152…
by mlb5533 | 2006-10-06 17:55 | 第三章