「夢」を追いかけて

ここ数試合、松井選手に当たりが出てきた。復帰後、打率.300が危ぶまれたがいまでは.308まで伸ばしている。でも、松井選手の打率アップとチームの勝利とは直結していない。14年目の「10月」進出は8月末に、事実上不可能にはなっていた。しかし、8月だったから、「何か起きる」ことを夢みたもののやはり、数字はごまかせない。淋しいことだがヤンキースは今季、「9月止まり」だ。

不思議な気がする。10月にヤンキースがいないMLBを連想するのは、なぜ難しいんだろう。
かかさずいたはずのチームの名前がない…。まわりは少しも変わっていないのに、突然そのチームだけがいない。そんな不思議さを、淋しさというのかそれとも空白感というのか…。毎年10月、ボクは騒ぎまくっていた。そんな騒がしい自分がいまは懐かしい。

結局、懐かしいあの頃の記憶を戻してくれた人、そう松井秀喜選手がいたから。あの頃以上にヤンキースが気になってしまった。ボクにとってのヤンキースって、松井秀喜選手のチームなんだ、と改めていまそう感じる。だから、松井選手が出場しないヤンキースは、ボクはさほど魅力が感じられない。ただの、懐かしさがわき上がってくるだけ。臨場感というような、緊張感はなくなってしまう。

巨人軍4番打者、日本を代表するホームラン打者が「卑怯者といわれても」…と、自分の胸中を絞り出すようにコメントして「夢」を追いかけ、ひとり太平洋を渡った松井秀喜選手。彼のその強烈な「夢」を、ボクも一緒になって追いかけたかった。それが「ヤンキース」だった。
「夢」をあきらめて、「現実」に迎合した生き方の方がどんなに楽に生きられるか、そんなことはわかっている。でも、それをしちゃうと「責任」が消えてしまう。
もう10月はないんだから、膝の治療に専念して来季に備えた方がいい、ということはきっと松井選手だってわかっているはず。でも、彼はそうしない。「いま自分ができるベスト」をし続ける。ボクはこういう松井選手の「不器用さ」に共感します。シアトルにいたジュニアと、どこか松井選手の生き方がダブるのは、ボクひとりじゃないかもしれない。

来季、自分の「夢」を追い求める体調に戻して、松井選手が「いつものように」グランドでプレーして欲しいです。その「夢」にボクも一緒に追いかけ続けますから…。


…NY152…
by mlb5533 | 2008-09-08 10:14 | 第六章